情動と理性脳(10)
治療について書き始めたのですが・・・
押圧法(浪越徳治郎先生が創始された手技)が疾病治療専門の指圧であることや医学的論拠に基づいた手技であることを『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんに『イメージ的に』でも 理解して頂きたく、〔治療ってな~に。〕を書き始めたのですが・・・。いざ、書き始めると、『病気』とは・『治る』と『治す』の区別も必要だとなりそのための“説明の説明”も欠かせなくなるように感じました。
途中から『わが子のための指圧講座』の内容としては、レベル的に難解な表現となり、『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんに「混乱を招くかも」と思案しながら書き続けました。内容が支離滅裂になるのを“ある意味で覚悟し”書き続けました。
難解な理論の学習は不要です
『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんは、『親子という、ごく自然で特別な関係』でお子さんを指圧する立場にあります。プロの指圧師に不可欠な指圧理論や医学知識は不要です。しかし、押圧法が如何に医学的論拠に基づいたものであるか『イメージ的』に理解していただくことを願って途中から『情動と理性脳について』綴りました。これらの内容の理解とお子さんに対する施術効果は無関係です。
押圧効果は施術により生み出されます。施術効果は施術の注意を守ることから始まり、親子が指圧に慣れ、ご家庭で日々継続することで得られます。
教師猫に“つきあって”ください
『 治療ってな~に』からはじめ、人独自の病気である『心因性自律神経失調症』へ移り、情動と理性脳について書いてきました。
人が人として社会生活をしていく上で、動物脳の情動と理性脳の情操の摩擦は避けられません。このことで生じる、自律神経の異常やこれらを改善するのに、押圧法が如何に有効であるかを説明するために、『 治療ってな~に』から『情動と理性脳(9)』までに説明した事柄を書き出します。
・病気とは、身体の機能が、『正常には働いていない』こと。
・治るとは、身体の機能が、再び正常に働く状態に『戻る』こと。
・治すとは、身体の機能を再び正常に働く状態に『戻す』こと。
・身体は、体内環境を一定範囲に保つ『ホメオスタシス機能』を持つ。
・哺乳類では、『自律神経と内分泌腺』がホメオスタシス機能を担う。
・フィードバックは、『負のフィードバック』と『正のフィードバック』にわける。
・身体のホメオスタシス(恒常性)は、『負のフィードバック』で保たれる。
・『正のフィードバック』はホメオスタシス機能とは逆行する。
・身体調和の連絡係は、『ホルモン』で、ごく微量で重要な働きを担う。
・ホルモン異常とは、ホルモンの『分泌量の異常』。
『ホルモンバランスの乱れ』とか『ホルモン失調』と呼ぶ。
・神経細胞には、ホルモンを放出する機能と受け取る機能がある。
・ホルモンの伝達を血液循環で行うものを『ホルモン系』と呼ぶ。
・神経で行うものは『神経系』と呼ぶ。双方とも情報を伝える。
・ホルモン系と神経系では、『情報伝達速度』が著しく異なる。
・自律神経は『不随意』で自律した神経。植物的機能の調節を担う。
・自律神経は交感神経と副交感神経に区別され、両者は『拮抗的』に働く。
・交感神経は、副交感神経より、いつ如何なるときも『優位となりえる』。
・自律神経失調症とは、自律神経の『調和が失われ』て出現した症状。
・器官の構造や形状的な異常が診られず、『不定愁訴症候群』と呼ぶ。
・カウンセリングや向精神薬などで対処されている。
・押圧法では、『他覚的診断』で自律神経失調症と詐病との区別が可能。
・自律神経失調症は、『情動と理性(情操)』を兼ね備えるゆえの病気。
そこには“人が人であるがゆえに”という、『宿命的な理由』が存在する。
・交感神経は、“情動の影響”を受け、激しく『正のフィードバック』を起す。
・情動は、身体の『生理的変化』を伴う感情で、本能や動物脳と深く関わる。
・人の脳は、『バージョンアップ』で、周辺機器に埋もれたパソコンのよう。
・情操とは、文化的で社会的価値をもつ、『人独自の複雑で高次な感情』。
・人間らしく生きることが、『動物脳と理性脳(感情と言動)に摩擦』を生じる。
・自律神経失調症の原因の正体は、動物脳と理性脳の摩擦『ストレス』。
・ホメオスタシスの改善には、自律神経失調の改善が必要。
・自律神経失調の改善には、情動と情操との摩擦の解消が重要。
・人が“人として生きる”ときに、情動と情操との摩擦解消は困難。
・動物脳(情動)が興奮すれば、如何なる状況でも交感神経優位となる。
・“情操の抑制”から解放されると、『正のフィードバック』が生じやすい。
・薬物により情報が遮断された状態で、正常な働きを求めることは可能か。
・情動暴走に拍車がかかる、カウンセリングの危険性。
・症状に苦しむ患者に、『情動エネルギー』を発散させる運動の要求は?
・自己暗示には、努力するたび落ち込み自分を責める危険性が潜む。
・不安定で、個人差の激しい患者に、マニュアル通りで成果が望めるのか。
・改善策は、動物脳(情動)の抑制ではなく“動物脳(情動)の制御”。
・五感への刺激は、理性脳(情操)を介さず、直接に動物脳(情動)を刺激。
・脳からの交感神経刺激は、刺激消失まで、交感神経を緊張させる。
・身体各部(末梢)からの刺激の多くは、『負のフィードバック』を生じる。
・自律神経の異常は原因が明確でも、患者自身の意思での制御は不可能。
・自律神経は末梢からの物理的刺激に対し単純に規則的に反応する。
・副交感神経への末梢由来の物理的作用は、語られることも少ない。
・押圧法による末梢刺激の有効性は、臨床現場での実態で証明できる。
・“無意識の反射”を意識ではなく“無意識が抑制”する。
・人は物ではない。しかし、時として教師猫は個人差を考慮しない。
・自律神経の異常緊張(過緊張)簡易診断法。
・交感神経刺激による自律神経緊張緩和法。
・副交感神経刺激による自律神経緊張緩和法。
寄せられた感想
『情動と理性脳』をシリーズ的に書き進める中で、様々なご意見を頂きました。
以前、〔指圧研究会・咲晩〕メンバーから提出された感想と共に一部紹介します。 (緑色の文字は教師猫が加筆しました)
【感想-1】
情動を理性が押さえつける、という構図は普通の社会生活をしていれば誰でも納得できるでしょう。正のフィードバックは小さなきっかけで情動が爆発してしまうプロセスをいとも簡単に説明してもらいました。コレを知っているだけでなんだかストレスから解放される法を知ったような感じです。
【感想-2】
自律神経の変化を伴う強い心の動き(感情)を「情動」という。これは医学書を読めば書いてあること。つまり、身体は自律神経を介して感情の影響を受けている。この反対、身体に刺激を入れることで自律神経を操作し、感情をコントロールすることができる・・・としたら、これは画期的なことだと思います。しかも、他者がそれを行えるとしたら。術者には倫理と人間性が求められるのは当然のこと。
【感想-3】
世間にはストレスの下地がいくらでもありますから、正のフィードバックから自分や患者さんを救う技術を身に付けられることは、これはもう自分の人生に大きな付加価値が付いたと言えます。
【感想-4】
正のフィードバック、負のフィードバックの説明は会社で上司からの説教の話がとてもわかりやすかったです。身体に生理的な影響を与える感情である「情動」。理性が情動を抑えるが各個に異なり十人十色だということ。カウンセリング等で 一時的に理性(情操)が 情動の部分を抑えても理性(情操)の抑制が外れれば情動は正のフィードバックで再燃してしまうということ。だから理性から入るよりも情動の方から入ったほうが楽で指圧なら可能だということ。
【感想-5】
ストレスが多いといわれる現代社会において、指圧という治療法が理性を介しないで情動をコントロールするということが非常に有効であることを理解できた。他に類のない治療法であり、自分としてはもっと技術と知識を高めていきたい。この内容を知ると知らないとではとんでもなく違う。
【感想-6】
「情動に直接作用する指圧がある」。これは確かに私でも話を聞いただけでは、「本当かね~」と思ってしまいそうなことなのですが、体験してみると、これはもう誰も否定しないでしょう。会場のあちこちでスタッフどうしが結果を出しているのですから。腹部指圧にこんな効果があるとは考えに及びませんでした、腹部指圧で人の脳の情動の部分にアプローチするなんて、でもこれからは腹部指圧に一つの確信を持ってやってゆけます。
【感想-7】
今回のお話・実技は本当に鳥肌がたちました。やはり指圧はこの領域まで影響をおよぼすことができるんだという事を知り、ずっと自分の中で疑問になっていた部分がとてもクリアになりました。また、押圧法の有効性・可能性にも改めて驚きを感じました。 早速、次の日から実際患者さんに■■の押圧を試してみました。結果は、お年よりの方たちに対してはそれほど変化がわかりませんでした。(ほとんどが寝てしまうというのもありますが。。。)比較的若い方で、ストレスが引き金になった体の悩みを訴えていた方たちには、今までに見たことのないような変化が見られました。一つは、施術後今までにないくらい穏やかな表情になり、二重が大きく見えました。もう一つは■■押圧後全身を指圧したときの緩み方が今までとぜんぜん違いました。
【感想-8】
今回はまず、ものすごいものをみたという感じでどうすればあんなことができるのだろうと思いました。まさしく脳に指圧をしているということを目の前でみさせてもらったという感じでした。講義では、ホメオスタシス・フィードバックなどの説明も例にたとえてくれたのでわかりやすかったです。また情動が理性によって抑えつけられ正のフィードバックによって耐えきれなくなり、爆発してしまうことや、そのようなことに対して脳(情動)に指圧することを教わりましたが、講義の中ではどうすれば脳なんかに指圧ができるのだろうと思いました。実技に入ると、■■を押圧する練習になり、私が受けましたが、最初に■■を押圧され痛くなかったが、圧迫感があり嫌な感じでしたが、しだいに圧迫感がなくなり、全身の力が抜けるような(どのように表現をしたらいいのかわかりませんが…)また眠くなってきました。そして平島先生から「どうだ?」と聞かれ「痛くありません」となぜかすぐに答えられませんでした。ただ■■を押圧しているだけでこんな体験ができるなんてとても不思議でしたし、平島先生が交感神経に刺激を入れるところをみて、これが脳に指圧することなんだと思いました。次に私が押す時にはどうしたらいいのかよくわからずあっという間に時間が経っていました。
【感想-9】
今回の腹部指圧で指圧の奥の深さ、効果を改めて実感しました。社会生活をしていく上で身体的、精神的な負荷(緊張状態が)が交感神経の過緊張、正のフィードバックを起し、ホメオスタシスが正しく機能されなくなる。これを腹部指圧により副交感神経を優位にして交感神経の過緊張をとり、負のフィードバックにしていきホメオスタシスを正常にし、さらに理性に関わらず 情動に影響させ治療していく。 実技をすることによって自分の体で体験することが出来ました。腹部をメンバーに押されていると、ふわ~っと気持ちよくなり、顔が自然と笑顔になっていました。ずっと押していてもらいたい、このまま眠らせて欲しいが感想で、施術が終わってからもボーっとして心ここにあらずでした。とても不思議な感覚でした。意識はしっかりしているのにリラックスしていて、体が言うことを聞かないと言うか、動かしたくないと言うか。どうにでもしてと言う感覚でした。理性?が働き、起きているという緊張状態が弛緩され、眠たい情動が前面に出きていたのだと今思っています。そのボーっとした状態を治すのが■■部の圧迫?痛みを与える事で交感神経を優位にして覚醒させているのか、そうした場合どこを痛くしても同じなのか、それとも■■部に特別なものがあるのか少し疑問に思いました。自分が押す立場になって先生にご指導頂き押すと受け手のメンバーも同じような様子になっていました。押す部位によって効果の違いがあり、押さなければいけない部位を感じる触診力、その人の体を診ること出来、どう押すかが出来ていないと交感神経に触らず、副交感神経に作用させ、情動に触れるのは難しいと思いました。いつも思う事なのですが、ここでもやはり、ボールの練習が大事であることを痛感させられました。・・・患者さんとの信頼関係の大切さが分かりました。患者さん自身を診ていき、患者さんの信頼を得る。…難しく感じています。
【感想-10】
当日は朝から調子が悪く、行けないかな・・・と思いましたが、少し良くなってきて、なんとかたどり着ける、行けば先生がなんとかしてくれる。と、自分を励ましながら会場へ向かいました。何とか到着したものの、一時間の遅刻。丁度先生の講義が終わった所でした。すぐ実技になりましたが、「受けるな」との先生からの指示。講義を聴いていなかった私はいったいどんなことをするんだろう?と思いました。はじまってみると、腹部指圧?のようにみえましたが、いつもとは違って受け手が段々静かに、眼がとろんとしてくるのがわかりました。しかも会場全体が・・・いったい何が起きたんだ!?講義を聴いていた方々は不思議そうながらも納得?顔。「受けるな」と言われていた私を先生が施術。もちろん皆さん大注目。どうなるんだろう?皆がみてる・・・怖い。とても不安な気持ちの私を見てすかさず「皆に注目されて怖いだろう」と先生。あいかわらず先生にはお見通しでした。押されるにつれ何ともいえない不思議な感覚になりました。話しかけられても反応が鈍くなりました。鈍いというか、ほっといてくれ~という感じでした。起き上がってからもぼ~っとしていて何も考えたくないという感じでした。 他にも不思議なことを目の当たりにして?????だらけの一日でした。
“名人技”が技術に
感想の全てが、上記のような肯定的な意見ばかりではないことも書き加えます。「あり得ない、信じない」と誹謗されても、現時点で甘んじて全てを受けています。
教師猫の治療室へ患者として通院されていた、関東地区の某公立病院の医師に“指圧効果”を説いたとき、「教師猫の技術は認めるが、指圧の効果とは認めない」と完全に否定されました。「この結果が指圧効果なら、ここまで通う理由は」と問われ、『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんからも「他に誰も出来ない技術を指圧効果だなんて、〔先生は大嘘つき?〕」と言われ、返答が出来ませんでした。
現在、教師猫患者の医師へは〔指圧研究会・咲晩〕メンバーが対応しています。『てのひらの会・咲夢』会員にもそれぞれの担当講師や往診担当の咲晩メンバーが対応しています。浪越徳治郎先生の“名人技”と呼ばれ、あん摩・マッサージ・指圧理論の教科書に名称のみとなった『押圧法』を二十数年をかけ、一挙一動を理論化しました。近年、押圧法は医学的理論に基づいた治療専門技術として〔指圧研究会・咲晩〕メンバーが基本の基礎から受け継いでいます。
数年前まで、“教師猫ワールド”とか“教師猫の神秘”と揶揄嘲弄され、催眠術と誹謗中傷されてきた、副交感神経刺激による自律神経緊張緩和法(腹部指圧)も〔眼球急速運動【REM】〕で述べましたように、複数の医師や大学教授に検証をお願いできるレベルになってきました。蘇生法も、〔蘇生は単なる偶然〕 ではなく、“再現性”を持つ指圧効果であると医師も警察も認めてくれました。
それ以上に、教師猫が“大声で自慢”したいのは、『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんや〔指圧研究会・咲晩〕メンバーによって、押圧法の様々な効果が臨床の場で得られはじめていることです。これは“名人技”が技術になった証拠です。
ホームページの功と罪
「HPに具体的な副交感神経刺激による自律神経緊張緩和法を記載するのは、ちょっと・・・」と言った、教師猫の暴走を懸念する意見も頂いていますが、教師猫もホームページの功と罪は多少心得ています。治療技術を中途半端に紹介して不十分な技術で施術される危険性は避けたいと考えます。ここでは、押圧法について『医学的論拠のある治療法』というイメージが伝われば十分と考えます。“情動と理性脳シリーズ”はとりあえずこのページで終了します。
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