「脳性麻痺」と「脳性麻痺による疾患」について
脳性麻痺とは、主に胎生期及び新生児期に、何らかの原因で脳の運動神経が傷んだ結果として、残った症状(後遺症)に対する呼び名です。
脳性麻痺は、脳の運動神経がさらに傷んでいく病気ではありません。
脳性麻痺は、痙直型・無緊張型・不随意型・失調型などに大別できます。
それぞれの混合型もあります。(約8割が痙直型です)
成人の脳血管障害の場合、一年程度で回復可能な範囲までほぼ回復し、その後の変化は少ないのです。しかし、脳性麻痺児の場合は、後遺症として残った障害に、小児という複雑な様々な要因が関与し、多年に渡り様々な変化が生じ様々な状態を引き起こします。簡単に言えば、成長に伴う障害の進行です。
私達は、単なる症状名である「脳性麻痺」と「後遺症として残った障害に、小児という複雑な様々な要因が関与し、多年に渡り、様々な変化が生じ、様々な状態を引き起こす疾患」を区別し「脳性麻痺による疾患」と別名で呼び対応しています。
成人の「脳血管障害」と小児の「脳血管障害」さらに「脳性麻痺」と「脳性麻痺による疾患」のそれぞれを明確に区別することで、運動機能障害進行の原因となる要因や運動機能障害の改善法がより具体的になってきました。
成人の脳血管障害による運動機能障害の回復は、機能回復訓練(リハビリ)が重要ですが、脳性麻痺児の運動機能障害の向上は、機能の学習が必要です。
生理的(通常)に、人の手足の筋肉は、伸筋(関節を伸ばす筋肉)より屈筋(関節を曲げる筋肉)、外転筋(体から遠ざける筋肉)より内転筋(体に近づける筋肉)の量のほうが多いため、屈筋側や内転筋側に屈曲します。屈曲姿勢での立位等は過度の筋力が必要となり関節の亜脱臼や脱臼、変形なども起きてきます。
脳性麻痺児の、運動機能向上に必要なことは、「脳性麻痺による疾患」を正しく理解することです。機能を習得しやすい条件を整える為にも、指圧は有効です。