第30回 加圧精度の習得(3)
“しめ”操作について
〔加圧精度の習得(2)〕の四指作り(四指操作)についてに記載した、四指操作を“手指のしめ”と呼び、四指操作と同じ目的の手根関節操作を“手根関節のしめ”と呼んでいます。 〔上肢のしめ〕では基本的な三種の“しめ操作”について概説しましたが“上肢のしめ”には、さらに『肩関節のしめ』が加わります。
押圧法初級レベルでの“上肢のしめ”は、肩関節操作を含め、『両手で雑巾を絞る時の各関節の動き』と理解してください。上肢の各関節を操作して得られた(雑巾絞り)結果を握力のみで得ようとすれば、どれ程の腕力が必要となるでしょう。あなたは、雑巾を“効率よく絞る”ために、『上肢の各関節操作』と『腕力UP』のどちらの訓練を選びますか。押圧法では『関節操作』を選び、さらに摩擦力も利用します。
押圧法では、上肢の『しめ操作』を“ひと通り(型通り)”習得すると、上肢の『引き操作』の訓練を加えた習練を行ないます。上肢の『引き操作』訓練は中級レベルとなりますので、実際の訓練は『下肢のしめ』終了後となり、初級レベルの訓練法には関わりません。しかし、初級レベルである『上肢のしめ操作』を基本通りに習得していないと、中級レベルの『上肢の引き操作』を積み上げることが困難となります。
下肢操作には足趾操作・足関節操作・膝関節操作・股関節操作があります。それぞれの『しめ操作』は初級レベルでは“経験し体感する程度”の習練に留めています。初級レベルの“下肢操作”においては、『しめ操作』以前に『移動動作』の習得が不可欠となります。〔下を見て、確実に基礎を積んでください〕
『しめ操作』は、多関節筋を駆使して加圧部位の把握と安定を目的としますが、加圧には関わりません。押圧法の関節操作は多種多様で、それぞれの操作に目的を表す固有の名称があります。同じ呼称でも各関節により操作が異なります。それぞれを明確に区別した習練が加圧精度の習得には不可欠です。
体幹操作について
押圧法上級者は、流れるように移動動作から加圧動作。さらに、次の移動動作へと操作を行ないます。それらの全ての動作が“支点力点を定めない操作”で、体幹や四肢操作が“同時”に進行していきます。押圧法は上達に伴い、『初級・中級・上級』に分類することができます。書体でいう『楷書・行書・草書』に相当し、書体をくずし点画を略します。押圧法では動作の分離をなくし、支点力点を定めません。
楷書(文字の点画)を知らずに、“名人の草書”をいかに真似て習練を積んだとしても『正しい草書』や『個性ある草書』を書くことができないばかりか、書かれた物に“文字としての役割”さえ見い出すことができなくなるのではと教師猫は考えます。 〔体幹と四肢の位置取り〕 〔押圧操作(移動動作)〕 〔押圧操作(加圧操作)〕 などが体幹操作の点画となります。初級者がこれらを習得せずに、上級者のスムーズな動作を見ても点画の判別は困難です。押圧法では、“母指の誘導”を基に操作することで動作の分離をなくし、支点力点を定めない操作を習得していきます。個性は 加圧精度向上と伴に得られるものです。