左利き?
左利き?
投稿者:たまねぎ 投稿日:2005/05/22(Sun) 13:37 No.638
しばらくぶりに書き込みをします。
先日の講習会で疑問に思うことがあり、教師猫様に質問しに来ました。
高校生と思われる患者さんに指圧をしている最中に、ふと先生が「左利き?」と質問したのです。
患者さんは「今は右利きに直しましたが、以前は左利きでした。」との返事でした。
先生はやはりそうだな、といった様子でしたが、周りで見ていた私達には?でした。
身体は左右で対称的にできていますが、その使い方は左右非対称なので、当然左右差が生じてくる・・・ここまでは想像がつきます。
つまり利き手が違えば身体のつかい方も違うので、治療方法も異なってくるのは当然のことと思います。
利き手の違いによる指圧の対応の仕方を教えてください。
Re: 左利き? 投稿者:教師猫 投稿日: 2005/05/22(Sun) 20:00 No.642
たまねぎさん。こんばんは。
たまねぎさんの正体をうすうす感じているので、以下のような返答をします。
>利き手の違いによる指圧の対応の仕方を教えてください。
こんな抽象的な質問で、臨床家に答えを求めても無理です。少しくふうして、もう少し具体的な疾患にからめて質問をしなさい。
教師猫からたまねぎさんへ再質問。
「右利き」か「左利き」かによって身体の使い方は異なりますが、最も身体に影響を与える部位はどこでしょう。
左利き? 投稿者:たまねぎ 投稿日:2005/05/24(Tue) 08:58 No.648
>「右利き」か「左利き」かによって身体の使い方は異なりますが、最も身体に影響を与える部位はどこでしょう
う~ん・・・。
利き手(腕)は前に出して使うことが多いので、腰が捻れる姿勢になってくると思います。
最も影響を受ける部分は腰だと思います。
具体的な疾患として、膝痛、腰痛の場合はどのように対処すればよいでしょうか。
左利きの知人は、利き手と同じ左の膝、腰が痛むとよく言っています。
どうぞよろしくお願いします。
Re: 左利き? 投稿者:教師猫 投稿日:2005/05/25(Wed) 13:11 No.650
たまねぎさん。こんにちは。
たまねぎさんには、もう少しひねった回答を期待していたのですが・・・
「右利き」か「左利き」の違いによる、身体への影響は様々だと考えます。
臨床の場では、『利き目』・『利き手』・『利き脚』と動作を主に観察します。
特に、『利き脚』と立位時の重心位置は、動作時の軸性と方向性の効率やこのことによる腰部への負荷を考慮し、治療方針を定めるために重要となります。
優位脳の問題もありますが、動作の中心が腰部の場合と頭部の場合でも異なりますし、生活習慣(主に思春期以前)により習得した動作法も臨床現場では考慮しなければなりません。
「右利き」か「左利き」の違いによる身体への影響について、教師猫のQ&Aに書き込みます。
お答えします。
>高校生と思われる患者さんに指圧をしている最中に、ふと先生が「左利き?」と質問したのです。
>患者さんは「今は右利きに直しましたが、以前は左利きでした。」との返事でした。
>先生はやはりそうだな、といった様子でしたが、周りで見ていた私達には?でした。
身体のバランスを整えるのに、下肢の動作や重心位置は重要です。彼女の一瞬の動作の中に慢性的な“足の疾患”を疑わせる動きがあり、次の瞬間に“下腿の疾患”に疑いが変わりました。重心移動時に「左利き」の動きを感じましたので問いました。時に、優位脳の働きが身体を歪ませる場合があります。
利き手
『利き手』という手を持つのは、“人”という動物のみのようです。猿にも『よく使う手』はあるようですが、『利き手』と呼ぶには至らないそうです。主動作を担う“人独自”の『利き手』という手は、他肢を補助動作の『非利き手』とし、左右差の因を生み出します。現時点(この項)では『利き手』についての詳細な説明を略しますが、後述する『利き脚』の内容から推測し、患部や患側のみならず健側の状態を注視することの必然性や重要性ならびに同点治療の有効性等をイメージ的に認識してください。
押圧法では、『利き手』や『利き脚』独自の操作は行ないません。安定した押圧操作の習得のみならず、施術者の健康維持の目的においても、『非利き手』および『非利き脚』の習練に、日々励んでください。
利き脚
下肢も『利き脚』が『方向性とか運動性』と呼ぶ主動作を担い、『非利き脚』が補助動作である『軸性』を担います。『利き脚』と『非利き脚』では役割が分担されていて操作性や運動量等も著しく異なります。
右下肢が『利き脚』であれば、『方向性とか運動性』と呼ぶ主動作は右下肢が担います。歩行や走行が直進であれば『利き脚』と『非利き脚』の動作に役割分担は生じません。Uターンなどの方向転換や下肢の動作を行なう場合には『利き脚』と『非利き脚』の動作に役割分担が生じます。この時、『非利き脚』の左下肢が回転軸となり、『利き脚』である右下肢の方向性を補助します。ボールを蹴る動作でも左下肢が身体を安定させる軸となり、右下肢の運動性や操作性を容易なものとします。
正座から立位に姿勢を変える場合も『利き脚』が先に動きます。 姿勢についてでも述べましたが、正しい姿勢とは“良いとする身体の構え”のことで、スポーツや作業動作において、各々正しいとされる姿勢があります。さらに、スポーツや作業を行わない状態での正しい姿勢とは骨格筋の筋力に依存度の少ない“省エネ姿勢”をいいます。患者の姿勢変化時における“方向性”や“運動性”が『利き脚』で行なわれているか否かは有要な情報です。但し、“方向性”を示した脚を安易に『利き脚』と判断しないでください。
『利き脚』の疾患(膝痛等)をかばい、『非利き脚』に“方向性”や“運動性”を担わせることもあります。
後述しますが、“方向性”や“運動性”があれば『利き脚』と決め付けないことも必要です。
立位姿勢での重心位置
スポーツの立位姿勢(身体の構え)は攻防に瞬時に適応可能な姿勢で、作業動作では作業効率や危険回避に対応した姿勢が望ましいといえます。スポーツや作業などを行わない状態では骨格筋の筋力に依存度の少ない“省エネ姿勢”が望ましいのですが、多くが無意識に“楽な姿勢”をとるようです。本人にとっては“楽な姿勢”ですが、医学的には良好といえない『慣れた姿勢』であることが稀ではなく、身体へ悪影響をおよぼし、様々な疾病やそれらの起因ともなる問題を含みます。
右下肢が『利き脚』の人が右重心で立っていると仮定します。この人が前進または、後退等の移動動作に移るためには、右下肢にある重心を左下肢(軸脚)に移すという、“重心移動動作”が必要になります。この“重心移動動作”は、左重心の立位姿勢から前進等の移動動作に移る場合は、不要な動作です。
立位姿勢時に、『利き脚』と同側に重心を置く習慣や、“重心移動”というわずかな動作などにより生じる悪影響については、(専門家にも認知されにくく)議論の対象にもならないようですが、臨床の現場では不可欠な知識と考えています。『利き脚』と同側に重心を置いた状態での緊急動作を想定してください。
突然、あなたに向かって自転車が突っ込んで来たとします。その時『非利き脚』の“軸脚”に重心があり、瞬時に後方に回転し、間一髪で難を逃れたとします。もし、重心が『利き脚』にあったらどうなるでしょう。あなたは、重心を『利き脚』から『非利き脚』の“軸脚”に移した後に、後方に回転しなければなりません。時間的に難を逃れることができるでしょうか。さらに、このような突発的事象に対しては、反射的な動作をとりやすくなります。反射的な動作であれば重心の位置に関わらず、『利き脚』を動かします。
膝関節には、立位姿勢で体重の約3~5倍の負荷がかかり、歩行では体重の約5~7倍に増加します。上記の突発的事象に対し、反射的に体重を乗せたまま『利き脚』を後方に動かした場合の膝への負荷(実際には動けないことが多いが負荷は生じる)は、立位や歩行の比ではない、衝撃的負荷となります。
体重を乗せたままの動作やその習慣性は下肢や腰部に衝撃的負荷を与えます。これらが膝痛や腰痛の原因となりうることは容易に推測可能と思います。臨床現場においては、『利き脚』と重心位置の関係を原因とする頚肩腕症候群や頭痛等の発生を診ることは稀ではありません。立位姿勢時の重心位置が、『軸性』を担う『非利き脚』にあるか“方向性”や“運動性”を担う『利き脚』にあるか、または、いずれの習慣性を持つかにより、突発的な危険回避だけでなく、身体に加わる慢性的な負荷も異なります。
臨床現場での原因究明手段
押圧法には、独自の『臨床現場原因究明手段』があります。本題から外れますが、この“独自の手段”の説明により、本章や本HPの記載事項に対する理解が得られ易くなると考え、脈絡を省みず挿入します。
押圧法では、患者の愁訴や疾患名より全身的他覚的診断を重視します。患者さんが、如何なる愁訴や疾患名で来院されても、(愁訴や疾患名を配慮しないわけではありません)独自の全身的他覚的診断を行います。この独自の診断で得られた情報に基づき、施術法や施術部位を考慮し、施術を行ないます。
極端な表現をすれば、愁訴や疾患名に関わらず、独自の診断にて得られた、“身体の異常”を改善するための施術を行なうのです。ですから、原則的には、患者の愁訴や疾患名の情報は不要ともいえます。不合理ですか?押圧法独自の診断法の高度さと施術結果は臨床現場での非難を封じてくれています。
ご理解いただけたと考えます。臨床現場での原因究明の手段は他覚的患者情報であり、原因特定は“施術結果による愁訴変化等に基づく、医学的所見”となります。蛇足説明になりますが、押圧法では、愁訴や疾患名優先の施術法は存在しません。あくまで、現場で独自の他覚的所見により、臨機応変に対応します。しかし、これらを愁訴や疾患名別に統計を取れば、愁訴や疾患名別の施術法に共通性や類似性が認められます。これらは知識として有効ですが“押圧法の独自性”を覆すものではありません。
突然、楽しくなります
教師猫の解説は、“スタッフ養成講座受講生レベルでは『難解過ぎる』”と再三の指摘を受けています。しかし、そのことを知りながら教師猫は改めようとはしません。詳細は省きますが、教師猫には教師猫の意図があります。教師猫の意図の解明より、“難解な部分は『何回』でも質問”されることを勧めます。
教師猫は、皆さんが『理論家や指圧評論家』となることを嫌います。指圧師に必要なことは、理論の習得より技術の獲得です。押圧法の治療技術に必要な基本操作の習練は、一見単調な繰り返しの連続で、進歩もないように思える習練は、時に無意味と考えられるほどです。『できましたか』と問われ、習得していない自分に自己嫌悪が襲います。『投げ出しても道はない』と、泣きながら習練する毎日になります。
突然、楽しくなります。それは、あなたの指があるものを感じた瞬間からです。それが何かは、現時点で伏せておきましょう。その時から、『難解だった』教師猫の説明が、春の雪解けのようにとけていきます。
かなり脱線したようですが、『利き脚』と立位時の重心位置は、動作時の軸性と方向性の効率や 身体への負荷を考慮し、治療方針を定めるために必要な情報となります。優位脳の問題もありますが、動作の中心が腰部の場合と頭部の場合でも異なります。さらに、生活習慣(主に思春期以前)により習得した、動作法も臨床現場では考慮しなければなりません。
たまねぎさん。現時点では、利き手の違いにより指圧の対応が変わることをイメージ的に捉え、押圧法の他覚的診断や独自の治療法に対する認識を新たにしていただければと考えます。(再質問は自由)
備考
人の動作の基本に、動作の中心が腰部の場合と頭部の場合があります。民族性や生活習慣、使用する道具の使用法等によっても異なってきますが、農耕民族の動作は腰部を中心とし、狩猟民族では頭部を中心とする傾向があります。日本人には、かつての“なんば動作”との混合動作等も加わっています。
日本人の生活環境の変化は日本人の基本動作のみならず、身体にも様々な影響を与えています。