人工呼吸器
人工呼吸器
どっち? 投稿者:油揚げ 投稿日:2005/10/23(Sun) 11:17 No.793
こんにちは。質問があるのでお願いします。
自分が最近担当することになったALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんについてなんですが、いくつかの疑問があります。62才男性です。まず、気管を切開し人工呼吸器を付けているので会話ができません。また胃ロウのため経管栄養でもあります。四肢の筋力低下、特に手の母指球はほとんどありませんが、歩行や体位変換といった自動運動は可。最も大事な改善をするべき「他覚症状」は胸郭の運動かなと思いました。心窩部は入っているため腹式呼吸ができないようで胸式になっています。呼吸時に胸郭の動きが腹部よりも顕著だったのでそう思いました。が、通常の男性を施術するような押し下げるような押し方をしても苦しくはないようで、女性の胸部を施術するときのように引き上げたりしてもそれほど楽に呼吸ができているような感はないのですが…。
また、施術した後に「痰が上がってくるといい」らしくまだ一回しかそれになっていないのでそれになるというか容易に痰が上がってくるような方法はありませんでしょうか?もちろんカニューレからの吸引ですが。
Re: どっち? 投稿者:教師猫 投稿日:2005/10/23(Sun) 21:09 No.794
油揚げさん。こんばんは。
>いくつかの疑問があります。
疑問点を具体的に書いて、質問して下さい
>容易に痰が上がってくるような方法はありませんでしょうか?
>もちろんカニューレからの吸引ですが。
気管カニューレの種類を教えてください。特にカフの有無について。
筋萎縮性側索硬化症に限りませんが、呼吸不全のために人工呼吸器の使用は不可欠ですが、人工呼吸器の使用に関与する廃用性萎縮は呼吸器系に留まらず様々な部位に影響を与えます。
同時に施術法も様々な制約を受けます。
呼吸に伴う胸郭の動きを観察し、左右の側胸部を触診して下さい。
側胸部の萎縮が強い方と同側の大腿前側を入念に触診し、硬結を見つけて施術してください。
大腿前側の硬結に変化が見られたら、胸郭の動きや側胸部に変化が予測されます。
大腿前側の硬結と胸郭の動きの関連性が読み取れたら、次の施術部位は予測できると考えます。
まず、試してみて下さい。結果報告と質問を待っています。
報告と疑問 投稿者:油揚げ 投稿日:2005/10/25(Tue) 19:10 No.795
こんばんは。え~まず…
>気管カニューレの種類を教えてください。特にカフの有無について。
吸引カニューレかと思われます。患者さんに聞いたのではなくネット検索してこれなのかなと。
あとカフ付きではありません。
…勉強します。
では当日の報告を。
まず患者さん仮称オニタマさんの左右の側胸部の萎縮をチェック。左の肋骨の方が浮き上がっている感がある。なので左大腿部を触診し硬結のある部位を探る。確かにあった。数ヶ所あったが一番硬い部位を選択。オニタマさんにはいつもとちょっと勝手が違うふうに写ったのだろうか怪訝そうな表情をのぞかせる。硬結部位をフワ~と加圧。少し緩んだので改めて側胸部をチェック。が、特に変化なし。?あれ?…。仕方ない、いつもどおりやるか。胸部を施術している際に気管カニューレから粘液(口腔でいうならば唾液なのか?)がボコボコ大量にでてきた。ちょうどシャボン玉溶液の泡のあの感じに近い。拭き取っても次から次へとあふれ出てくる感じだ。これはもしや…。と淡い期待をしたがそういうわけではない気もしてきた。
下肢の他動運動時にいつもなら呼吸スピードが早くなるのだが今日はそうでもない。ただ今日は呼吸が非常に落ち着いている。それは自分自身でも強く認識している。ただボコボコは相変わらず。普段ここまで出ないのにな。施術後すぐに吸引を行う。
施術後に感じた疑問ですが、
①なぜ側胸部の萎縮と大腿前側の関係があるのか?
②なぜわずかな情報で推測(側胸部)し施術部位(大腿前側)を指定できたのか?
③カニューレより大量に出てきたのは施術が原因なのか?単なる偶然か?
よろしくお願いします。
Re: 報告と疑問 投稿者:教師猫 投稿日:2005/10/26(Wed) 00:19 No.796
油揚げさん。こんばんは。
>①なぜ側胸部の萎縮と大腿前側の関係があるのか?
>②なぜわずかな情報で推測(側胸部)し施術部位(大腿前側)を指定できたのか?
なぜでしょう。油揚げさんの書き込みで患者さんの状態を十分推測できたからです。
但し、教師猫が今回の目的としたものは、油揚げさんの押圧レベルの判断材料集めです。
油揚げさんの押圧レベルを知るためと咲晩メンバーである確認のために、“呼吸に伴う胸郭の観察と側胸部の触診後の大腿前側への施術を指示し”報告を求めました。
咲晩メンバー以外の方であれば、意味不明で指示に従うことも報告もないと判断しました。
>硬結部位をフワ~と加圧。少し緩んだので改めて側胸部をチェック。が、特に変化なし。?あれ?…。
チェック部位は胸郭の観察です。特に心窩部の動きを再観察して下さい。
教師猫の内職の一つが一段落したので、疑問①と②に関する内容は例の場所に書きこみます。
>③カニューレより大量に出てきたのは施術が原因なのか?単なる偶然か?
結論を急がず、観察を続けて下さい。
報告を読み、油揚げさんの押圧レベルの推測することができましたので、次の指示を出します。
腋下を中心に、上腕前側および三角胸筋溝の左右差は触診による確認。(確認のみで施術は行ないません)
拘縮が弱い側の鼠径部を押圧してください。
激しい筋性防衛が無ければ、反対側の鼠径部を経て下腹部(恥骨上部)を施して下さい。
筋性防衛が激しい場合、拘縮が強い側は触診のみで、拘縮の弱い側の腋下・上腕前側・三角胸筋溝を押圧。
拘縮の強い側に変化が認められると推定されます。触診で確認して下さい。
拘縮の弱い側への施術で拘縮の強い側に変化が認められれば、鼠径部の筋性防衛は改善されると思われます。鼠径部の筋性防衛が改善されれば、上記の指示に従い施術を行なって下さい。
鼠径部の筋性防衛に改善が認められない場合は先に進まないで下さい。
前回の大腿前側を施術し、心窩部の動きの変化を観察して報告して下さい。
油揚げさんの報告と感想を待っています。
お答えします。
>通常の男性を施術するような押し下げるような押し方をしても苦しくはないようで、女性の胸部を施術
>するときのように引き上げたりしてもそれほど楽に呼吸ができているような感はないのですが…。
〔指圧研究会・咲晩〕メンバー以外の方には理解し辛い内容と思われますので、先に概説します。
呼吸法には男性は腹式・女性は胸式が中心という著しい性差があります。押圧法ではこれらを考慮し、施術後の呼吸改善のみならず、施術中の不快感や呼吸阻害を取り除く施術法を用いています。
>①なぜ側胸部の萎縮と大腿前側の関係があるのか?
>②なぜわずかな情報で推測(側胸部)し施術部位(大腿前側)を指定できたのか?
質問にストレートに答えると、混乱が生じる可能性が予想されます。“前置きとヒント”を概説しますので、二度読みを行なって答えを推測して下さい。
身体各部の骨格筋の弛緩や収縮は“関節”を介し、全ての骨格筋に様々な影響を与えます。なかでも骨格筋萎縮に伴う力学的影響は、視診による他覚的診断さえ容易となるほど顕著なものとなります。
油揚げさんの書き込み(疾患名や患者さんの状態・施術法やその結果)から、患者さんの呼吸筋の萎縮は容易に推定できます。さらに、補助呼吸筋および呼吸協力筋の状態も他の内容から推察できます。
掲示板にも書き込みましたが、油揚げさんの正体(押圧レベル)が不明な状態で、人工呼吸器を付け、経管栄養を行なっている筋萎縮性側索硬化症の患者さんに危険性を含む不用意な指導(リモコン)はできません。しかし、質問があれば答えるのが教師猫でもあります。
骨格筋は不動に伴い廃用性萎縮を生じます。呼吸不全は呼吸筋や補助呼吸筋の廃用性萎縮を招き、これらは全ての呼吸協力筋(備考参照)にも波及していきます。重度の呼吸不全患者では大腿四頭筋も呼吸協力筋となってしまいます。このことは、喘息発作時に起坐位が有効な理由から推定して下さい。
〔備考〕
押圧法臨床用の呼吸関連筋の分類は、解剖・生理学的分類法と若干異なりますので注意が必要です。押圧法では、呼吸法の性差を考慮します。男性の場合は腹式呼吸を直接行なう筋群を呼吸筋と呼び、胸式呼吸に関わる筋群を補助呼吸筋と呼びます。さらに、これらの筋群の働きに関与(協力・阻害)する筋群を呼吸協力筋と呼んでいます。
報告を読み、油揚げさんの押圧レベルの推測することができましたので、次の指示を出しました。
教師猫の臨床指導(リモコン)は全て質問者(個人)専用です。他者の無断流用は禁じます。