違法広告について(番外編)
厚生労働省認可の看板
無資格のはずの療術施術院の看板に、厚生労働大臣認可(医政第○○号)と記載されているのですが、こんな看板が出ているところは、指圧や鍼灸等の免許を持った有資格者が施術院を営んでいるのですか、それとも、無資格でも厚生労働大臣の認可を受けることができるのですか・・・本物それとも偽物・・・といった質問がありましたので調べてみました。
医政第○○号は、特定の団体に与えられた番号のため(医政第○○号)と表記しました。
(医政第○○号)の法律的根拠
厚生労働大臣認可(医政第○○号)の法律的根拠は、経済産業省・中小企業庁の所管である中小企業等協同組合法に基づいています。この法律は、中小規模の商工業、鉱業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め、公正な経済活動の機会を確保し、もつてその自主的な経済活動を促進、且つ、その経済的地位の向上を図ることを目的としています。
(中小企業等協同組合法第一章総則第一条 より抜粋)
厚生労働省・医事課からの返事
法文は難解なので、厚生労働省・医事課へ厚生労働大臣認可(医政第○○号)について具体的にシステム等を友人を介して問い合わせたところ、以下の回答をえました。
1)この組合は、事業で物品等の協同購入を円滑に行うことを目的として認められた団体。
2)法律にある一定の条件を満たしていれば、組織された団体は認可を受けられる。
3)目的は、事業において団体を組織して、スケールメリットを得ること。
4)認可は、その団体の事業等と関わりが深いと判断される省庁がおこなう。
(つまり、この第○○号では、厚生労働省となる。小規模の場合は都道府県のこともある)
5)厚生労働省認可となったのは、規模が全国的であることも一因。
6)認可にあたっては、中小企業協同組合法に基づいているのみである。
7)医師法やあマ指師法等に基づく医療従事者であるか否かは不問としている。
8)この団体に属するがゆえに生じる法的制限はない。
9)他の法律(医師法、あマ指師法など)に触れない限り、摘発の対象とはならない。
10)摘発は警察庁の管轄であり、厚生労働省は認可はするが監督・管理は行わない。
「民間資格」と呼ばれるものは、各組織や団体がそれぞれに謳い文句を並べているものでこれらの要件を満たしているものを「民間団体」と認めるというような法律はありません。
教師猫流の解釈では・・・
厚生労働大臣認可(医政第○○号)は、中小企業協同組合法に基づき、条件を満たした団体であれば認可を受けられる。その際、医療従事者(有資格者)であるか否かは不問とされている。無資格の療術施術院の看板に、事業で物品等の協同購入を円滑に行うことを目的として認められた団体の認可番号を掲げることの意味は・・・誤解の誘発かも・・・
事故防衛は自己責任
〔あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律〕の第1条には『医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれあん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けなければならない』と定められ、さらに第12条には『何人も、第1条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。(抜粋)』と定められています。しかし、この法律は「自分達には医学知識も技術もない。だから、自分達の行為は“医業類似行為以外の行為”で合法行為」と臆せず平然と主張する彼らには無効に等しいのです。施術を受ける前に施術者の資格の有無を確認してください。なお、有資格者が業務を行うには保健所への届出が必要ですから資格の有無は保健所へ電話で問い合わせることも可能です。
某施設に薬物投与が不可欠な我が子の難病治療を託した親がいました。施設の責任者の無資格者が難病治療の条件として薬物投与を禁じました。親がそのことを信じて従ったため子供は死亡しました。マスコミの前で、親は某施設の責任者を非難しましたが法的な判断では、我が子に適切な医療を受けさせなかった親の責任が問われると推察します。
有資格者では〔真偽に関わらず全て違法となる行為〕が無資格者の場合は(薬事法等の)他の法律に触れない限り自由です。『肩こり・腰痛・生理痛』等といった疾患名の羅列は、国民を惑わし、国民が適切な医療を受ける機会を逸する恐れがあると苦慮するのですが表現の自由として守られ、有資格者がこのことを広告することは違法行為とされます。
『肩こり・腰痛』といった看板を見て、ここは“肩こり・腰痛の専門”とか“肩こり・腰痛が治る”と考えたら、国は『あなたの思慮不足』と捉え、施術等によりあなたに不利な事態が生じた場合は、無資格者による不適切な施術等を受けた『あなたの責任』と判断します。