機械の修理と生命体の再生
動物と脳
感覚と運動の機能をもつ生物群を動物と呼び、動物は動くことを巧みに取り入れ進化しました。その結果、動くことを前提とした機能が多くあります。
動けない(動かさない)ことが、器官の発育不全や機能低下を招きます。
高等動物では運動機能や感覚機能の中枢となるのは脳です。しかし、脳の発育や機能の向上や低下と関わるのは、脳自身より脳に出入りする刺激が深く関わります。脳は手足などの受容器から刺激を受け、それを筋肉などの効果器へ連絡する働きをします。さらに、そのことを学習することができる器官です。少し難しい説明になりましたが、「頭を使う」ということは「頭の中であれこれ考えを巡らす」ことではなく「頭(脳)に何かを入力し、頭(脳)から何かを出力」することです。
機械の修理と生命体の再生
受容器、脳、効果器をカラオケ(機械)に例えると、受容器がマイクで脳はアンプ(増幅器)です。効果器はスピーカーとなります。マイクからアンプへ信号を送るコードが知覚神経でアンプからスピーカーに信号を送るコードが運動神経に相当します。マイク、マイクからアンプへ信号を送るコード、アンプ、アンプからスピーカーに信号を送るコード、スピーカーまでの全てが正常でなければカラオケは作動しません。カラオケが故障したら故障している部分を交換又は修理します。スピーカーが故障しているのにマイクを交換してもカラオケが正常に作動することはありません。スピーカーとマイクが故障しているのにマイクのみ修理して、スピーカーの故障が直ることもありません。さらに、スピーカーの故障がマイクを故障させることも日常的にはありません。
生命体も同様に受容器、知覚神経、脳、運動神経、効果器のいずれもが正常に機能し目的とする結果が得られます。しかし、各器官の機能が低下あるいは破壊されたときは、自己再生力が働きます。いわゆる自分で自身を治します。 しかし、これは壊れたスピーカーが自らを修理していることとは異なります。
スピーカーの故障を発見した人物がスピーカーの故障をオーナーに伝え、オーナーは修理条件を付けて修理工に修理依頼を行ないます。依頼を受けた修理工は修理条件を満たす方法で修理を担当するように、破壊された器官やそれに関わる器官が脳にその旨を伝え脳の指令により様々な条件の再生が行なわれます。機械の修理と生命体の再生プロセスには多くの酷似箇所があります。スピーカーの故障がマイクを故障させることはありませんが、オーナーの判断でマイクまで処分されることもあります。
少し乱暴な表現をすれば、個々の器官の機能低下や機能向上に受容器や知覚神経が脳に何をどう伝えるか、脳がその事態をどう受け取り、どの運動神経や効果器にどう伝えるかで再生は様々に変化します。
押圧法ではそれぞれの器官に直接働きかけることも行ないますが、目的とする器官(効果器)とは異なる器官(受容器)を刺激し、脳を介し目的器官(効果器)をより効率よく働かせることで治療効率の向上を計っています。