浮腫への指圧
浮腫への指圧
投稿者:ぼうず 投稿日:2006/05/12(Fri) 18:59 No.1331
浮腫に対する指圧(押圧法)で、腋窩動脈をとらえる時に「ホース」の先を摘まんで水を遠くに飛ばす原理(イメージ)で押すと、その先に対する動脈圧力が増して浮腫が改善できるのでは… と思いました。
教師猫先生はこの考えはありえると思いますか? よろしくお願いします。
Re:浮腫への指圧 投稿者:教師猫 投稿日:2006/05/12(Fri) 22:57 No.1332
ぼうずさん。こんばんは。
加圧と加圧効果に対する質問、嬉しいです。
押圧法はこのように科学的な側面から論じたいものです。
>動脈圧力が増して浮腫が改善できるのでは…
>教師猫先生はこの考えはありえると思いますか?
動脈内圧が上昇した結果によって、浮腫が改善するとは考えません。
〔押圧法概論(7)〕 や 〔押圧法概論(8)〕 を を参照してください。
局所の血液循環不良は、原因は様々ですが、局所の充血・貧血・うっ血によって生じます。
流し台でお皿を洗う様子をイメージしてください。
蛇口から出る水量は多過ぎ(流入過多)ても、少な過ぎ(流入過少)ても、都合は悪い。
さらに、排水口の詰り等による、排水不良(流出不足)も問題です。
水道水の流入過多を充血、流入過少を貧血、さらに、流出不足をうっ血と捉えてください。
浮腫は、身体の組織間隙または体腔内にリンパ液や漿液が多量にたまった状態をいいます。
流し台に例えれば、水が溢れている状態です。流し台の場合は、“水の勢い”や“溜まった水”の重さで、 排水口のゴミが流され、排水不良が改善される場合も考えられます。
物質交換のための有窓性毛細血管の穴は十万分の一ミリメートル程度です。
仮に腋窩動脈を加圧し、仮に腋窩動脈内圧が上昇し、仮にベンチューリー効果を得られたと仮定しても、 組織間隙や体腔内に多量にたまったリンパ液や漿液が勢い良く毛細血管内に流れ込むでしょうか。
スッキリorモヤット・・・モヤットの場合は再質問をどうぞ。
Re:浮腫への指圧 投稿者:ぼうず 投稿日:2006/05/13(Sat) 01:24 No.1333
教師猫先生.
返答ありがとうございます. 再質問させてください.
>排水口の詰り等による、排水不良(流出不足)も問題です。
>流し台の場合は、“水の勢い”や“溜まった水”の重さで、
>排水口のゴミが流され、排水不良が改善される場合も考えられます。
この場面を人間に置き換えて、流出不足はリンパ管のポンプ作用低下による排出不良が原因と考えた場合、一般的にリンパ管のポンプ作用に働きかけるには、筋肉ポンプ・関節の動き・動脈の拍動・内臓や横隔膜の動きなどの外力を用いますが、指圧でリンパ管のポンプ作用を効率的に働かせることは可能でしょうか?
よろしくお願いします.
Re:浮腫への指圧 投稿者:教師猫 投稿日:2006/05/14(Sun) 00:42 No.1334
ぼうずさん。こんばんは。
最初の
>動脈圧力が増して浮腫が改善できるのでは…
>教師猫先生はこの考えはありえると思いますか?
という質問に対して、教師猫の
>動脈内圧が上昇した結果によって、浮腫が改善するとは考えません。
という回答で納得した上での質問と捉え、お答えします。
ぼうずさんの質問が、“外力”でリンパ管のポンプ作用を効率的に働かせることは可能か?という質問であれば・・・
効率的か否かを何(どのような手段)と比較するかを示してもらえば、判断しやすくなります。
上記の質問のように“指圧で”と表現されると、“何と何を比較して”の双方が不明瞭なため対応できかねます。
さらに、ぼうずさんが、通常、リンパ管のポンプ作用に働きかける外力がリンパ管に対する生理的外力であることを理解できているのなら、外力でリンパ管のポンプ作用を効率的に働かせることは可能か?という質問には、 何と比較するかで自問自答できると考えます。
さらに、概説し、まとめるとなると『効率的』という用語を限定する必要があります。
何より、臨床からは遠ざかると推測しますので略します。
臨床的に捉えるなら、リンパ管のポンプ作用低下による排出不良を原因と考えた場合、排出不良の原因疾患に目を向け、これらの疾患や原因に対応する方向での排出不良を思考すべきと考えます。
〔治療と修理〕を参照し教師猫がいう“病気は治せません”という意味を理解してください。
何度でも再質問を受けます。さらに再質問の内容は奇問愚問を問いません。
さらに、他の読者の意見も待っています。
Re:浮腫への指圧 投稿者:ぼうず 投稿日:2006/05/16(Tue) 21:25 No.1335
教師猫先生。 こんばんわ。
再々質問をさせてください。
「浮腫への対応法はどうすればいいですか?」という質問では排出不良の原因疾患に対応する指圧をというのが答えだと思いますがそれでいいでしょうか?
>臨床的に捉えるなら、リンパ管のポンプ作用低下による排出不良を原因と考えた場合、
>排出不良の原因疾患に目を向け、これらの疾患や原因に対応する方向での排出不良を思考すべきと考えます。
原因疾患に目を向けたときに、治療法をどのように組み立て指圧をするのですか?
よろしくお願いします。
Re:浮腫への指圧 投稿者:教師猫 投稿日:2006/05/16(Tue) 23:02 No.1336
ぼうずさん。こんばんは。
浮腫は、身体の組織間隙または体腔内にリンパ液や漿液が多量にたまった状態をいいます。
血液循環を原因とする場合は、大半が局所の充血とうっ血によって生じます。
いわゆる、流入過多と流出不足ですから、浮腫への対応法はそれぞれ対応することになります。
一般的な浮腫への対応法について、例の場所に書き込みます。
お答えします。
浮腫の原因
浮腫は、身体の組織間隙または体腔内にリンパ液や漿液が多量にたまった状態をいいます。原因は、組織液(細胞間質液)と血管内にある体液との圧力バランスに異常が生じたためで、毛細血管内の圧力と組織液(細胞間質液)の圧力とのバランスが崩れて、血管内圧力が増大すると浮腫が発生します。
以下に掲載する浮腫についての説明は、教師猫が患者対応用として説明する内容の概説です。
専門的には誤り(方便)が含まれています。正確な浮腫への知識は専門書にて学習してください。
全身性浮腫について
全身性の浮腫は、『心不全、腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下症、妊娠中毒症などが原因で生じます』と教科書にありますが、臨床家の教師猫がこれらを否定するわけではありませんが、全身性浮腫原因について語ると、様々な例外があり、支離滅裂な内容になってしまうと考え、多くを語らないこととします。
全身性浮腫も初期には主に足に出現し、その後に全身へ広がっていきます。これは重力の影響です。人類は直立二足歩行に順応したため無重力の環境で暮らせば上半身に浮腫が出現しやすくなります。このことは臨床現場での浮腫対応に重要です。でも、無重力での“キリンの顔”って、すごいでしょうね。
浮腫の判定は、脛骨内果2~3㎝上部を親指で5秒ほど圧迫して下さい。浮腫があれば指跡が明確にくぼみます。尿量の変化や咳、だるさや息苦しさ等の自覚症状も重要です。浮腫判定法を患者さんへは脛骨内果(2~3㎝)上部を親指で1分間軽く圧迫した後に、判定するよう指導してください。
全身性の浮腫を伴う疾患で頻度の高いものに『糖尿病』があります。『糖尿病』は高血糖や糖尿を示す代謝疾患で、口渇や多飲を特徴とする全身性の浮腫を示します。『糖尿病』の原因は口渇や多飲ではありません。しかし、多飲は『糖尿病性浮腫』原因の1つになりえます。なぜ『糖尿病』患者が口渇を訴え多飲となるのか。『糖尿病』では結果として高血糖を示します。生体は恒常性を保つ手段の一つとして、高濃度の血糖を希釈により改善しようとして口渇や多飲が生じます。その結果として、体液が増加し、浮腫を始めとする高血圧や心疾患等の二次的疾患が生じます。腎疾患にも“類似の浮腫”が生じます。全身性浮腫原因が希釈によるものばかりではありませんが、生体の恒常性を保つ手段の結果としての浮腫があることも覚えておいてください。
局所性浮腫について
局所性浮腫原因の主なものは、局所の充血とうっ血があげられます。(リンパ系省略)
〔局所の充血〕
充血は、局所の組織の動脈内を流れる血液量が異常に増加している状態で、炎症や諸種の刺激等によって生じます。充血により、動脈性の毛細血管内圧が亢進することで局所の浮腫が生じます。
〔局所のうっ血〕
うっ血とは、静脈の血液が局所的にたまった状態です。物理的原因として、充血を流入過多とすれば、うっ血は流出不足となります。静脈の血液が血管内にたまる状態となると組織間隙等の体液は静脈性毛細血管に流入することが困難となり、体液が組織間隙等にたまった状態(浮腫)が生じます。
浮腫症状への対応
ここでは触れませんが浮腫への対応に原因疾患の診断や改善は不可欠です。必ず専門医への受診を勧めてください。押圧法による浮腫症状対応では、全身や局所にさほどこだわりません。押圧法による対応でも、押圧法レベルにより著しく対応が異なることがあることも含んでください。
〔充血性浮腫〕
指圧師が遭遇する充血性浮腫の多くは、“炎症に由来”しています。あえて、レベルを記載しませんが、本章が参考となる『押圧法レベル者』は対応を避けてください。炎症への物理的刺激による対応と患者体位の維持、血流量の分散で対応しますが、このことに説明が必要であれば、何もしないでください。
〔うっ血性浮腫〕
患者や患部を十分に観察し腹部指圧後、疾患部位を避け求心性に施術してください。特に、疾患部位の体幹側の筋緊張緩和は重要です。施術中に疾患部位を若干心臓位置より高位置に維持することも有効です。筋力低下が診られることは少なくありません。筋力低下に対する対応や指導も重要です。
何とも言えないのです
臨床家の教師猫が語ると、様々な例外があり、支離滅裂な内容になるので多くを語らないこととします。と上記しましたが、浮腫に限らず、多くの方から『○○疾患の場合はどこを施術すれば』等といった質問を受けます。こんな時、『患者を見てみない限りは何とも言えません』と答えますが、確実な話でなくても少しでも参考になる一般的な傾向や目安を聞きたいのに、“教えてくれない”と反発されてしまいます。
この時に、教師猫が『疾患』といわずに、『患者を見てみない限り』といっていることに着目してください。臨床現場において対応するのは『疾患ではなく患者』なのです。疾患の一般的な傾向や目安であれば過去の統計を参照すればよいと思います。しかし、これらが臨床現場において、どれ程役に立ったか。臨床経験が教えてくれます。教師猫は、『この質問』がでなくなった時、あなたを臨床家と認めます。
「好きな人がいるんです。明るくて、真面目で、いい人なんです。結婚したいのですがどうしたらいい」と相談され、それ以上の情報を相手から与えられなかったら、あなたはどうしますか。教師猫は相手から、それ以上の情報を引き出さずとも“絶対間違いのない手段”を知っていますが、あえて、相手から多くの情報を聞き出し、間違った結果を生じる可能性を十分に含んだ手段を悩みながら、一緒に考えます。