性(SEX)について
『SEXとは生物学的性・社会的性意識はGender』
人の生物学的な性(SEX)は人の営みに重要な役割を持ちます。生命38億年の生き残り戦略の結果とし人が獲得した他の動物とは異なる“生物学的な性(SEX)”とは如何なるものでしょう。
はるか、38億年前に地球に出現した生命。生き残りを賭けて様々な能力を獲得しました。アイスボール(全球凍結)から解き放たれた地球で、その後爆発的に種のデザインを変化させその種類を増やしたり高等多細胞に進化したのも性(SEX)の獲得に由来するものです。
性(SEX)を獲得した生命は、死を誕生させ、“個の確立”を築きました。
性を獲得し急速に高等化した生命は、さらなる高等化や繁栄のために、雌間競争、雄間競争、発情期設定、精子間競争、性転換、などの様々な戦略を模索しました。
生命は“最も進化した動物”にさらなる要求を突きつけました。『雌』はその多くを委ねられ、困難な体幹の変化や発情期の撤廃などに挑み、著しく進化し、自らを『女性』に変貌させ、戸惑う『雄』を『男性』へと誘導していきました。
性差のある動物はそれぞれの持つ配偶子の大きで“雄と雌”に便宜上二分できます。しかし、人の性を決定するには染色体の性のみならず、性腺の性、性器の性、脳の性などの生物学的性(SEX)とさらに環境の性といわれる社会的性意識(Gender)も深く関わります。ですから、生物学的には人の性を他の性差のある動物のように簡単に雌雄に分けることは困難です。仮に、人の性を無理に二分すると“男性と女性”ではなく、社会通念とは異なりますが生物学的には『男性と男性ではない性』となると考えます。
押圧法の臨床現場では、性差により施術法(治療法)が異なります。ここでの性差の大別は社会通念と同様の『男性と女性』でも対応できます。しかし、従来の医療が人間用の医療ではなく『男性用医療』であるという認識が重要です。さらに男性用医療は動物実験などで『哺乳類の雄』から得られたデーターを基本にすることができます。しかし、『哺乳類の雌』から著しく進化した『現生人類の女性』には・・・
人間には老後という特殊な期間があります。人間はこの時も性を持ち続けます。
人の生涯に大きくかかわる、生物学的性(SEX)と社会的性意識(Gender)への知識取得は、患者への対応や治療に、今後、重要となる課題だと考えています。