骨格筋の疲労(筋疲労)と回復
筋疲労とは、一般に作業や運動を行った結果、筋力が低下することを言います。筋力の低下は、筋収縮の結果生じたエネルギー水準の低下や乳酸などの疲労物質(代謝産物)の蓄積等で生じます。(乳酸により細胞内のPHは酸性に傾く)
筋疲労の回復は、この状態を改善すればよいのです。糖質等のエネルギー源の補給によるエネルギー水準低下の改善。作業や運動等の中止による疲労物質増加防止。自然治癒能力での疲労物質の除去等です。しかし、運動機能障害児は(一般に呼ばれる)作業や運動を行なわないのに、激しい筋疲労が生じます。運動機能障害児の筋疲労回避や回復法には一般に行なわれる筋疲労回避や回復法でなく、運動機能障害児独自の疲労回避や回復法が必要となります。
安静は疲労物質の増加防止や自然治癒能力による疲労物質の除去に対して、最も一般的な疲労回復法です。しかし、重度な運動機能障害児は健常者がいう安静姿勢でさえ激しい筋疲労を生じます。これは一定の姿勢を維持することが血液循環不良の原因となるためです。運動機能障害児の筋肉疲労回避やその回復には独自の手段が必要になります。
成人の生命を維持していくのに、最低必要なエネルギー量(基礎代謝量)は1日約1,500kcalです。このエネルギーは、縄跳びなら、約15,000回を行うエネルギーに相当します。このエネルギー消費に伴い疲労物質(二酸化炭素、乳酸)が産生されます。1日の生命活動に縄跳び約15,000回分の疲労物質の産生が伴うことをイメ-ジ的に理解してください。(講義でわかりやすく解説します)
運動機能障害に伴う不動性萎縮等が血液循環不良を起こし、エネルギー水準の低下、疲労物質の増加、自然治癒能力の低下を招き、悪循環を起こします。
さらに、低体重児ほど基礎代謝率が大きいので、深刻な問題となります。
重度の運動機能障害児は、生命活動を行うだけでも激しい筋疲労が生じます。
筋疲労回復に積極的に関わるには、お母さんの指圧が最も効果的と考えます。