乳幼児の体温管理-1
乳幼児の体温管理のために、乳幼児の特徴を知ることは重要な課題です。
体温調整機能は、学習により獲得される(後天性の)能力です。
乳幼児の体温調整能力は未熟で不十分なものであることを認識してください。
同時に愁訴も不正確で、適切ではないという考慮と注意が必要です。
〈参考〉
平衡感覚も生後に獲得されます。乳幼児期に乗り物に酔いにくく、学童期に酔いやすいのは、平衡感覚機能の発育(獲得)による結果です。
同じものでも質量が少ないほど、環境の温度変化の影響を受けやすくなります。つまり、小さいほど「温まりやすく、冷えやすい」のです。氷を細かく砕けば、融けやすくなります。これは、熱が伝達する面積(表面積)が増加したためです。
具体的に説明します。1mの立方体の氷を垂直か水平に切断した場合の表面積の変化を説明します。最初の表面積は6㎡です。1回切ると表面積は2㎡増え、3回切ると6㎡増えます。小さくなればなるほど、表面積は増えていきます。
結果、空気に触れる面が広くなり、そこから熱が伝わり溶けやすくなります。
(お子さんとの体重を比較して、表面積の比率の違いをイメ-ジして下さい)
乳幼児の体温が成人の生理的体温より高いのは、確率的に有利だからです。未熟な体温調整機能で、生命を維持していくのに不可欠な深部体温(37℃)を、地球の平均気温15℃という環境の中で確保するためです。 幼児が高いのは、高温に強いというわけではありません。特に乳児にとって、高温環境は危険ともいえます。乳幼児は体内の水分比率が高く、簡単に脱水状態になります。体温調節機能に放熱と散熱がありますが、体力を消耗しやすいのは放熱の方です。
≪衣服下気候とは、下着と皮膚の間の「温度」と「湿度」と「風量」のこと≫