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第28回 加圧精度の習得(1)

加圧精度の習得

押圧操作(加圧操作)〕で概説しましたが、 押圧法上級者は、流れるようなリズムで移動動作から加圧動作、さらに次の移動動作へと移っていきます。それらの全ての動作が支点力点を定めない操作です。 〔基本の基礎の運命〕でも触れましたが、『書』にたとえれば、〔足趾操作(加圧動作)〕までが楷書です。支点や力点を定めない操作が加わることで、点画をくずした行書さらには略した草書となっていきます。しかし、“読めない書”や“加圧精度に欠けた操作”では、臨床現場での疾病治療の役には立ちません。

初心者には判別さえ困難な動作で、体幹や四肢の操作が同時進行します。しかし、いかにスムーズな動作でも“疾病治療専門の押圧法”技術習得において加圧精度の低下は『百害あって一利なし』です。加圧精度習得のための注意点など、“つばなれ”の目標達成のためにシリーズで概説していきます。


上手な圧迫

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加圧開始姿勢と加圧終了姿勢を示しましたが、加圧開始姿勢のまま倒れ込む操作(加圧動作)と混同しないように注意をしてください。教師猫は、この操作を『押圧法風圧迫』とか『上手な圧迫』と呼びます。
『上手な圧迫』か否かの判断は、加圧終了姿勢を加圧開始姿勢に戻すために復元圧を使用しているか否かを確認してください。復元圧を使用し体勢を整えていれば、正真正銘の『押圧法風圧迫』です。

主な原因は“自支の不完全”ではなく、加圧操作と押圧認識不足にあるようです。加圧操作は掲載した加圧開始姿勢と加圧終了姿勢の間で行なう操作です。開始と終了姿勢のみを〔押圧操作(加圧操作)〕に掲載した理由は、様々な加圧法を一度に概説することは、無用の混乱を招くと判断したためです。


肘関節の伸展による加圧操作

写真にカーソルを重ねてください。加圧終了姿勢から加圧開始姿勢に変化します。

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〔押圧操作(加圧操作)〕の掲載写真と同じものですが、加圧終了姿勢から加圧開始姿勢に変化します。
肘関節の伸展による加圧操作は最も基本的な加圧操作です。加圧開始姿勢から他部位は動かさずに肘関節のみを伸展させ加圧を行ないます。これが肘関節加圧操作で“肘関節のしめ”と呼んでいます。


肘関節加圧操作

肘関節の加圧操作では、加圧開始姿勢の母指位置が加圧部位を想定した高さになるように適度な物(枕など)を置き、肘関節の屈曲を行ないます。母指位置を動かさないための他部位操作が必要です。初級レベルでは肘関節を屈曲すると同時に上体を前屈させます。この時点での加圧は『上手な圧迫』となりますので十分に注意してください。加圧はその後の“肘関節伸展操作”で行ないますが、加圧時に上体を起こさないことが肝要です。特に肩関節の挙上を意識して制御してください。加圧後は加圧終了姿勢を取りますが、肘関節を屈曲する“肘関節屈曲操作”と同時に上体を起こします。この際、『復元圧』を利用すれば『押圧法風圧迫』です。掲載写真をクリックし“肘関節加圧操作”をイメージしてください。
注:操作法の詳細は施術者の指型や体形によって異なります。必ず担当講師の指導を受けてください。


肘関節加圧操作の確認法

加圧精度を云々する前に、加圧の分類、すなわち『押圧圧』か『圧迫圧』の判別やそれらの認識が重要となります。これらの判別法について繰り返しますが、自支があれば、『押圧圧』です。自支がなければ『圧迫圧』となります。これらは“自支の有無”で区別することができます。現実にはあり得ない事ですが、加圧中に“被術者が瞬時に消失”しても施術者には自支を要求するのが『押圧圧』操作(押圧法)です。しかし、『押圧圧』操作による加圧であっても、加圧中に“被術者が瞬時に消失”すれば、初級者にとって自支は困難となり、自らの加圧が『押圧圧』か『圧迫圧』かの自己判断基準も不明瞭となります。

『押圧圧』と『圧迫圧』の区別(判断)基準に“自支の有無”を用いた目的は“自支認識”を促すためです。物理学的な区別(判断)基準は加圧法が“作用・反作用”のいずれを用いているかによって定まります。

肘関節による加圧操作は肘関節を伸展させることにより加圧します。肘関節加圧操作が正しく行なわれていれば、加圧操作に身体の上昇(特に肩関節の挙上)を抑制する操作が不可欠となります。押圧法による加圧は作用(圧迫圧)ではなく、反作用を利用して行なうことを十分に認識し、習練してください。








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