ハリー君の報告
ありがとうございました 投稿者:ハリー 投稿日:2004/08/23(Mon) 22:56 No.255
こんにちは。昨日初めて皆さんにお会いした親子です。
以前平島先生に大変お世話になっておりました。
この会が出来たことはお友達から聞いていましたが、なかなか参加できず今日になってしまいました。
6年ぶりの平島先生との再会に我が子は、先生の声と手をしっかり覚えていました。行きの車中では体も倒れ、何処へ連れて行かれるのか不安だったような顔をしていましたが、帰りは体もシャキットして時々ニンマリ、そして声をよく出していました。
2年前大きな発作で大腿骨を骨折してから、椅子と座椅子には座れていましたが、畳に座ることが出来ませんでした。それが何とお風呂上りにできました。今日も1時間ほど畳に背もたれなしで座っていられました。指圧の魔力を目の当たりに感じました。平島先生を始めご指導して下さいました皆さんに感謝の気持ちで一杯です。
これからも出来るだけ参加していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
ハリー君の書き込み
6年ぶりに『てのひらの会・咲夢』の勉強会に参加されたハリー君のお母さんから掲示板に書き込みがありました。その後メールでいくつかのやり取りを行ないました。ハリー君関係の咲晩メンバーからの質問も多く出ました。咲晩メンバーにハリー君のことを何処まで伝えてよいか相談したところ、メンバーにはハリー君のために必要な情報の全て、さらに、教師猫の判断でネット公開の許可もいただきました。押圧法を学ぶ人たちの資料として提供します。
『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんへ伝言
ハリー君の情報公開には心から感謝いたします。しかし、皆さんがハリー君に続いて情報を公開する必要はありません。プライバシー優先。わが子を守るのが第一です。忘れないで下さいね。
メール交信の一部
〔メールでは、お母さんは本名。私は愛称を使用しましたがここでは双方ハリーとします〕
ハリーの母です。先日はありがとうございました。
この6年間のハリーの様子を書かせていただきます。13歳14歳までは元気にしていました。
15歳を過ぎた中3の2月20日前後に風邪で熱を出し、3日程寝ない日が続き4日目に初めて発作が起きました。びっくりした時のようなピクピクしたのが朝方から始まり病院で痙攣止めを使うまで休みながら続いたのでした。それからデパケンを服用するようになりました。その後は発作も起きずに学校では昇降口から教室まで独歩したりと過ごしていました。家でも玄関からエレベーターまで歩いたり 独歩と手引き歩行を合わせて1時間位の散歩もできました。17歳の春休みにランチの外食先で 上記のような発作が起こりだんだん強くなって顔面蒼白 唇が紫色になり 舌が巻き上がりそうで口にタオルを入れた 体は仰け反った常態でした。1~2分で収まりましたが左足を地に付かなかったのです。病院へ行ったら大腿骨が骨折していました。そのまま入院し手術。足にチタンを入れられました。8ヶ月後チタンは外れました。チタンの違和感が大きかったのか、畳に座らなくなり尾低骨にジョクソウができ、完治するまでに半年かかりました。病院ではリハビリを受ける気まるでなしのハリーだったので 週1回の学校の訓練だけ受けていました。この時は何度平島先生の顔が浮かんだことか・・・丁度高3で進路を悩んでいた頃と重なって 浜松まで行く気力が出なかったのとハリーの兄弟が〔略〕のオーディションを受けて合格し 初めの頃レッスンに付き添ったりしていたので ハリーが後回しになってしまいました。あの時平島先生の所へ行っていたら ハリーももっと楽になっていたのに・・と反省です。通所施設で使用の車椅子は腸骨ベルトや背もたれ付きになってしまった程体がかわりました。昨年の8月末に風邪から濃胸になり左胸が真っ白でドレーンを肺に付けて治療しました。1ヶ月の入院生活をしました。現在は手引き歩行は出来ますが、椅子に座るか横になっているかのどちらかになってしまいました。しかし 先日てのひらの会に参加させて頂いてびっくりしました。ハリーはしっかり平島先生の声と手を覚えていたのです。
行く前は何処へ連れて行かれるのかな?と思っていたのだと思います。声なし 笑顔なし 体は傾いている このような状態で参加させていただいたのです。しかし 帰りはニコニコ 体はシャキット 声も良く出していました。それどころか次の日 お風呂上りに畳に座ることができたのです。本人は嬉しそうな顔をしていました。腰を挙げて参加させて頂いて本当に良かったなあと 感謝の気持ちで一杯です。これからも頑張って参加させて頂きたいと思いますので よろしくお願いします。
〔略〕
昨年むせる事から起きた濃胸で〔・・・略・・・〕を進められていますが受けたほうが良いのでしょうか?
2~3ヶ月も悩んでいます。お時間がある時に教えて頂きたいと思います。 よろしくお願いします。
ハリー 母
メール読ませていただきました。
>腰を挙げて参加させて頂いて本当に良かったなあと 感謝の気持ちで一杯です。
>これからも頑張って参加させて頂きたいと思いますので よろしくお願いします。
ハリー君が指圧を覚えていてくれたことには感激と共に素晴らしい体験をさせてもらえました。
また、目に見える指圧効果があったことを嬉しく思います。今後の参加は歓迎します。
ハリー君に可能な限りの対応をしていきたいと考えますが、お母さんにひとつ条件があります。
指圧は指の技術です。指の技術は薬物と異なり感情に左右されます。私の感情が乱れれば、結果も乱れ、ハリー君によい結果を望めなくなります。ハリー君に好結果を望まれるのなら、私の感情を乱さないで下さい。
私の感情を最も乱すことは、お母さんがハリー君の兄弟の犠牲にしたと考えたり、反省することと、「もっと早く参加すればよかった」と悩んだり、悔やんだりすることです。「あの時こうしておけば」という言葉を私が一番嫌うことを覚えておいて下さい。今後、可能なことを手伝わせて下さい。〔略〕
平島。
こんにちは お忙しい中 早々のお返事ありがとうございました。
先生がおっしゃるとおり 今の現状をしっかり見て過去を振り返らず前向きに進んで行きます。
それから質問の件は 会場で直接伺わせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
ハリー 母
ハリー君のその後の様子について教えて下さい。特に当日は背もたれなしで畳に座れたとの事でしたがその後いかがですか。勉強会への継続的な参加(毎月でなくてもOK)が可能であれば担当者を選びたいと考えています。ご自宅への保険診療による往診も可能となると思います。
平島。
こんばんは 遅くなりましたがハリーの様子です。
指圧を受けて3日目が1時間位座っていました。7日目には今までと同じようにバランスを自分でとろうとしながら5分位座っていました 一番長く座っていた日は携帯電話で写真に収めましたので次回の指導日にお見せしたいと思います。体の傾きはまだいくらか保っています。
それから我が家のPCにウイルスが混入してしまっているようですので落ち着くまでPCを控えたいと思いますのでよろしくお願いします。申し訳ありません。
ハリー 母
書き加えます
ハリー君と咲晩メンバーとは初対面です。それぞれ担当児がいますので、ハリー君の書き込みを読んでも、当日ハリー君と関わった4名以外は「新しい子がいた」程度か終了後の情報交換で知りえたわずかな情報だと思います。今後ハリー君と関わるためにも必要となるので書き加えます。
ハリー君の障害は『精神運動遅延』ですが、症状としては非常に稀で、私も初めて相対した特殊な運動機能障害です。えのきに「ハリー君を覚えているか」と聞いたら「あの、お人形みたいな子」と答えました。素人としては的確な表現です。激しい喜怒以外はハリー君の感情を第三者が判断することは困難です。座位・立位・歩行が可能な抗重力及び推進力と機能は備えていますが、自発運動を体幹や四肢に認めることは困難、ハリー君の姿勢や動作は介助者の意志や誘導によるものです。
6年ぶりの再会でした。お母さんに簡単な挨拶をして、車椅子のハリー君の正面から近づき、視線の高さを合わせ「ハリー君」と声をかけました。うつむき加減のハリー君にとってはいきなり目の前に私の顔が現れた結果となりました。憤慨する彼に「ハリー君、ひらしま先生だよ」というお母さんの援護射撃。私も「ハリー君、ひらしま先生だよ」と声をかけ、ハリー君の両手指を同時に把握し指圧しました。指圧しながら矢継ぎ早に「ハリー君、ひらしま先生だよ」「ひらしま先生だよ、わかったー」と声をかけました。3~4回でハリー君の表情が変化しました。「先生、ハリーは先生のことがわかりました。先生のことを覚えています」「ハリー、先生のことわかったよね。ちゃんと覚えていたよね」わずか数分の出来事ですが私にとっても感動的でした。でも(お母さんには叱られると思いますが)彼が私を覚えていたとか、思い出したとは、私が推定する彼の個人認識力や記憶力からは認めにくいのです。ですから、その後のハリー君の態度には困惑しました。会場に入って初対面の人々の中に入っても全く緊張した様子が見られないのです。1~2分の軽い腹部指圧後、お母さんに足部を押してもらいました。『足部』は多くの脳性麻痺児がお母さんにでも触られることも嫌います。彼も足を引っ込め、声を出して嫌がりました。即座に交代、意図的に乱暴に足と下腿を取り扱いました。その時ハリー君が見せた6年前と同じ穏やかな表情に、お母さんは苦笑されていました。
時間の都合で、Y先生に片膝立ち姿勢による腹部指圧を指示し様子を見ました。押し手が代わることによる彼の態度を観察していましたが変化がないので、咲晩スタッフを4名押し手に加え、両下腿を4人で同時に施術、Y先生と計5人での同時指圧を行ないました。ハリー君は一人一人を観察していましたが、態度を変えることはありませんでした。大腿骨折後、病院でのリハビリを拒み続けたハリー君が笑顔で指圧を受けている。脳性麻痺児と対応している専門家に話せば鼻で笑われ、逆にハリー君が『人を怖がり全く受け入れない』ことを咲晩メンバーの誰一人として本気では信じられなくなる光景だと考えます。咲晩メンバー諸君。『君たちが行なっている押圧法はすごいものだぞ』と教師猫は大声で叫びたいのです。この議論は今後の臨床結果が証明してくれます。
その後、背部指圧を行なう時にハリー君が若干の抵抗を見せました。伏臥位には応じてくれるのですが、頭を持ち上げるのです。通常はお母さんが軽く頭をおして床につければその姿勢を維持してくれるのですが「先生の姿が見えなくなることをハリーは嫌らってるようです」とお母さん。近づいて指示を出すと従ってくれる。終始私の姿を目で追っているということは私を意識し認識している。さらに、私以外の人物が指圧を行なっていることも認識しそれでも落ち着いている。それらの様子から判断するとハリー君の指圧あるいは指圧を行なう人々に対する信頼は特別で絶大なようです。
2週間後の再会
ハリー君との再会は研究会日程の都合で通常より早く、2週間後でした。お母さんから経過報告を受け、要点を確認し、今回は入場時から前回のような(初参加者やなじめない子供に対する)対応を取りやめて様子をみました。ハリー君の態度は6年前と変わらない程に落ち着いていました。
今後のために、Y先生には指導監督、咲晩メンバーに施術を指示しました。
「今日は、私やY先生ではなく咲晩メンバーがハリー君に対応します」「咲晩メンバーは十分対応できる技術を持っています」と説明し、ハリー君の"表情を読み取り伝言"を依頼しました。最も緊張したのは当日のハリー君担当に選ばれたメンバーでした。当日の参加児の中でハリー君が最も表情が乏しく馴染みも薄いのです。お母さんからの"表情を読み取り伝言"を受けながら、筋性防衛を回避し様々な情報を手指で読み取り押圧操作を行なっていきます。伏臥による背部指圧は苦労していたようです。脳性麻痺児独特の脊柱起立筋の過緊張と圧反射、それにハリー君の伏臥による心性防衛が加わります。数回過緊張緩和を手伝いましたが、咲晩メンバーの押圧技術は十分に満足できるものでした。
(自画自賛と笑わば笑え、教師猫は満足じゃ~。)
施術効果にメンバー安堵
ハリー君は周りの心労とは無縁のように終始リラックスして施術を受けていました。施術効果も満足できるもので、施術後、自力による座位姿勢を披露してくれました。これでメンバーによるハリー君往診の第一歩を踏み出すことができました。近々、保険診療による往診が可能です。
メンバーの技術向上
指圧研究会・咲晩メンバーは、ボールにいじめられビー玉に泣かされ続けました。何度投げ出そうとしたか、でも、圧迫法の危険性を知り押圧法の治療効果を目の当たりにし、引くに引けず、ボールと戦ってきました。見てやってください。支点力点を定めない片膝立ち姿勢の押圧で脳性麻痺児の治療に対応しています。理論的には最も有効であるが、反射が強く危険で困難である脳性麻痺児の頚部指圧。数年前には"名人技"と呼ばれたこの業をこなしています。
施術禁止部位
頚部は押圧法で最も有効な施術部位です。また最も危険な施術部位でもあります。
『てのひらの会・咲夢』会員による施術を禁止している部位です。
絶対にまねをしないで下さい。危険です。