夏の体温調節
「うつ熱」と「冷え」に対する認識は、体温調節において重要な課題です。
猛暑の折、大々的に報道されるのはうつ熱による事故の方です。うつ熱に対する知識と同等に重要な、夏の“冷え”について、今回説明します。「暑い季節です。冷え過ぎに注意してください」と言うと「暑いのに、なぜ冷えるのですか?」と疑問に思われるかもしれませんが、“寝冷え”は夏に多く用いられる語句です。
“散熱性発汗”は体温を下げるために行います。しかし、発汗しても直接的には体温は下がりません。発汗により皮膚に付着した“汗の”水分が蒸発する際に、気化熱を回りから奪うため、回りが冷やされ間接的に体温が下げられるのです。
散熱性発汗は、間接的な冷却作用であることを認識して下さい。
発汗しても体温を下げるためには、汗(水分)を蒸発させる必要があります。
上がりすぎた体温を下げるために、体は発汗を行います。でも、多湿な環境では水分が蒸発する効率が悪く、体温が思い通りには下がりません。結果的に余分な発汗が生じ、この余分な汗(水分)が、後に、体温を奪い冷え過ぎとなります。多湿な夏の気候に対応するには、成人の体温調節能力でも不十分なのです。
体温調節で最も重要なのは、“核心温度”と呼ばれる体深部の温度です。
核心温度は、体内の酵素が効率良く働く温度37℃を維持する必要があります。核心温度が下がると体内の酵素が効率良く働けず、様々な悪影響が生じます。(石油ストーブの不完全燃焼をイメージしてください)
夏の体温調節は、うつ熱同様“冷え”対策が重要です。講義で詳しく説明します。