アプローチの前に(2)

【白目と視線】
『目は口ほどにものを言う』と言われますが、人の目は“心の窓”と呼ばれ、刻々と変わる情緒を即時に反映させ、微妙な心の動きさえ相手に伝える(読み取られる)ほどの表現力を持っています。この表現力の基となっているのが“目の動き”です。人の目には、虹彩と瞳孔(黒目)の周囲に『白目』と呼ばれる、白い部分があります。この『白目』の存在が黒目を際立たせて、人の“目の動き”を明瞭にしています。『白目』の働きで、相手はこちらの視野(見えている範囲)だけではなく、視線の先(注目部位)や視線の変化(注目部位の変化)を知ることができます。このことで、意識または無意識に、微妙な心の動きさえ相手に伝える(読み取られる)ことができます。『視線や視線の変化』によるコミニュケーションの手段は、人独自の物です。さらに、この手段は理性脳(情操)を介さず動物脳(情動)に直接強く働きかけます。
〔人独自で、言語にも“勝るとも劣らない”『視線』というコミニュケーション手段を認識してください〕



【視線の効果】
群れの中の劣位な者にとって、優位な者の警戒心を緩和させ、“攻撃を避ける”ことは大切なことです。この手段として最も有効なのが相手に服従を示すことで、服従を示す最もわかりやすい行動は相手に対し“無防備な姿勢”をとることです。視線を下げることもこの方法の一つです。相手を自身の視野から外すことで相手に対する警戒や攻撃心がないことを示し、視線を下げることで相手に対し無防備となり、たとえいかなる攻撃を受けても反撃をしないという、絶対的な服従の意思を示す効果さえあります。

視線や視線の変化が理性脳(情操)を介さず、動物脳(情動)に働きかけることは先にも述べましたが、視線や視線の変化によるコミニュケーション手段が理性脳(情操)を介さず、直接的に動物脳(情動)に働きかけることは、人にアプローチするとき、視線や視線の変化の働きを無視すれば思わぬトラブルやペナルティを招きかねません。人へアプローチする(接近し働きかける)とき、相手に対する視線や視線の変化がどのように相手の動物脳(情動)に働きかけるかをアプローチ前に認識することは重要です。視線効果(視線や視線の変化による効果)の詳細については講義で指導しますが、視線効果が理性脳を介さず、動物脳に直接働きかけるため、その効果に個人差が少ないことも十分認識してください。



【視線効果の実技風景】
NPO日本指圧協会主催(第41回)指圧治療夏期大学において『運動機能障害とディファンス』と題して平成15年7月18日2時間半の講義を担当しました。この中で“視線効果の実技指導”を行ないました。

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人の眼は独特の動きをします。これは、時に相手に不信や恐怖さえも与えます。何気ない眼の動きが、患者に不信や恐怖感を与えていることを体感してもらいました。二人一組で患者役は仰臥位、治療家役には患者役の足元に直立。治療家役の動作は事前に全員に説明いたしました。なのに、恐怖で鳥肌が立つ人や耐えきれず飛び起きる人が続出しました。〔NPO日本指圧協会発行“指の光”より抜粋〕




【視線効果の実技概説】
指圧治療夏期大学で行なった“視線効果の実技”を概説します。
患者役と治療家役の二人一組で行ないます。

  • 〔患者役〕
  • 治療家役の動作が監視できるように枕を使用した仰臥位をとり、肩幅程度に開脚する。
  • 治療家役の視線を意識し、治療家役の視線から目を離さない。
  • 〔治療家役〕
  • 患者役の足元から30cm程度離れた位置に、正中線を合わせた自然な立位姿勢をとる。
  • 注意:自然な立位姿勢とは、日本人の平均的な立位姿勢(写真参照)を意味します。
  • 患者役と視線を合わせたまま、にこやかに挨拶をし、顎を水平位置まで上げ、半歩前進する。



患者役に何が起きるのか・・・概説より体験の方が有効と考えます。





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