押圧法上達のために
押圧法上達のために
押圧法の上達や危険回避には、押圧法の原則を守ることが近道です。
矛盾するようですが「わが子のために」と会場で一言も聞き漏らすまいと熱心になりすぎないで下さい。特に「お子さんの担当講師」が『教師猫』から受けている注意は無視して下さい。お母さんと担当講師では必要注意事項が異なります。それは、お子さんから押圧技術により信頼を獲得しなければならない担当講師とすでに信頼されているお母さんとの違いによります。
技術の前に信頼
『本講座』で指導する内容は、ご自身のお子さんに限り家庭でできる指圧です。親子という特別な信頼関係に基づき可能な指圧法です。見知らぬ他人が近づけば誰しも緊張します。脳性麻痺児に限らず緊張した幼児をリラックスさせ指圧を受け入れさせることは、プロでも容易なことではありません。 受け入れてもらえる指圧と受け入れてもらえない指圧とでは、その効果に天と地の開きがあります。
お母さんの指圧をお子さんが受け入れないことがあります。多くは、お母さんの構え過ぎが原因のようです。「痛くないからね」という言葉で警戒が強まります。皆さんに必要なものは、「家庭指圧レベル」の指圧技術とお子さんに無理強いをしない、お子さんが嫌がったら「やめる」という約束を確実に守ることです。
プロの修練と家庭指圧の練習
ノコギリにプロ仕様と家庭用があります。当然、プロ仕様のノコギリの方が切れ味もよく、切断面も綺麗です。しかし、日曜大工にプロ仕様のノコギリを購入することを良心的な工具屋さんは勧めません。なぜなら、プロ使用のノコギリは硬く、正確に引く技術がなければ(わずかでも曲げると)、簡単に折れるばかりでなく、破片が飛んできます。プロ使用のノコギリは、正確に引く技術を習得していない日曜大工には単なる危険な道具です。押圧法でも同じことが言えます。
皆さんが『本講座』で常に目にされる片膝立ち姿勢からの加圧もその一例です。一見、単純で簡単な操作です。実際に、自分自身で自分を支え、正確な加圧を、長時間、繰り返し行なっても疲れず、特別な腕力も必要としない操作法です。
しかし、これは、高度な押圧操作を習得した者のみがいえる言葉で、習得までの鍛錬は単調かつ一挙手一投足まで次々に精度を要求され自己嫌悪にさいなまれ続け、押圧法の治療効果に魅せられジレンマと戦う、まさに茨の道なのです。
プロがプロの執念で、日々嫌になるほど単調な修練を重ねて習得する技術は『わが子のための指圧講座』参加のお母さん方が習得する必要のない技術で、見様見真似で行なわれては危険なだけの行為です。特に、片膝立ち姿勢からの加圧は厳重に禁止いたします。
垂直圧の原則
押圧法には、『垂直圧の原則』と呼ぶ、圧の方向を垂直とする原則があります。このことを説明すると「身体の弯曲に対して垂直に押すのですか、それとも床面に対して垂直なのですか」などという質問が出ます。押圧法において、垂直圧は非必須(重要ではあるが不可欠ではない)条件ですから『原則』と呼びます。
押圧法の加圧における必須(不可欠)条件は、加減圧時の圧方向無変化です。これは『診断側治療』(一回の加圧操作で診断と治療)を行なうプロに要求される技術です。皆さんには指先でなく、お子さんの表情で判断する方法を指導しますので、指先の感覚を磨く特別な練習も不要となります。 担当講師から「垂直圧で」という指導を受けたら「一定方向に押すこと」と理解し、加圧や減圧時の圧方向を変えないように、心掛けて練習して下さい。
漸増漸減圧(ぜんぞうぜんげんあつ)
押圧法では様々な圧加減を用いますが、指導するのは『漸増漸減圧』で、徐々に加圧し徐々に減圧する方法です。最初は、腹部に触れる程度から始めます。 お子さんの表情を観察し、徐々に加圧します。押し込むのではなく、腹部に手指が沈んでいく感じで圧を加えていきます。『筋性防衛』でお子さんの腹筋が固くなったら、慌てて手指を放さずに、少し圧を緩めた状態で維持します。お子さんの心身が腹部指圧を受け入れると、『筋性防衛』が解除されて、腹筋が緩みます。腹筋の緩みを確認できたら、さらに、軽く(徐々に)押し込みます。一定時間圧を維持し、徐々に減圧し、次の加圧点へ移動します。【個人指導を行ないます】
指圧に慣れたらバトンタッチ
お子さんによっては、お母さんの指圧を受け入れてくれなかったり、お母さんがわが子の腹部指圧を躊躇されることもあります。こんな時は担当講師がお子さんには指圧で、お母さんにはお子さんの笑顔で説得し、お母さんへバトンタッチ。