教師猫ってどんな猫(7)
教師猫は何流
ハリセンボンさんや私も浪越流さんの問いに答えていきますが、その前に『流派』について考えてみましょう。○○流とは、『一定の技芸』を様式などの違いで分類する用語です。
〔押圧法認識〕でも述べましたが、指圧を三法の手技(あん摩・マッサージ・指圧)の一法と認識するか、唯一医学的有効性が認められ法制化された独自の手技と認識するかにより『一定の技芸』の意味が異なります。すなわち、国の判断に基づき“三法の手技の一法”とする専門学校と、“唯一医学的有効性が認められ法制化された独自な手技”とする教師猫とでは指圧の『流派』に対する捉え方が根本的に異なります。
指圧が“三法の手技の一法”であれば、浪越徳治郎先生が創始された流派という意味の『浪越流』と呼ばれることが当然でしょうが、国が唯一医学的有効性を認めて法制化された指圧は“三法の手技の一法”ではなく、“独自の手技”です。
〔押圧法って〕でも概説しましたが、法制化の準備段階で『医師以外の者が行っても有効であることを証明せよ』という条件を満たし、法制化した手技の手法を『押圧法』と呼びます。この手技は、創始者である浪越徳治郎先生によって『指圧』と名付けられました。しかし、法制化に伴う諸事情により、国が定義した『指圧』とは“三法の手技の一法”で、 押圧法の〔必須と非必須条件〕を著しく欠く、学術的にはあん摩の“圧迫法”と呼ばれるべき物です。
指圧について、中国古来の按摩の圧迫法を主体とし、カイロプラクティックや整体術などの技術を取り入れた治療法とか、大正時代に玉井天碧が「指圧療法」の名称を用いたのが始まり理解されているようですが誤りです。もちろん、これらの手技は存在し、現在も受け継がれています。しかし、これらは法制化の準備段階で『医師以外の者が行っても有効であることを証明せよ』という条件を満たした押圧法とは全く異なる手技です。これらこそが、あん摩の“圧迫法”を様式の違いで分類する『流派』という用語で呼ばれるべき物です。
浪越徳治郎先生の生誕100周年を記念した『浪越徳治郎生誕100年を祝う会』の記念品でもある“浪越徳治郎・指圧一代記(監修:浪越学園・日本指圧専門学校)”の第1章家族の愛の中の、室蘭で「指圧治療所」開業の一節に・・・自分には小田川師匠から授かった按摩の極意に加え、独自に開発した技がある。治療の原点は、難病の母の背中を圧して治した術である。お国に認められた技術に確固たる自身の治療法をブレンドするのだからいわば〈浪越流〉である。〈浪越流〉の自分の宝はこの指だ。指で圧して治療するのだから〈指圧〉というのはどうだろう。相談すると、兄たちも大賛成だった。(中略)徳治郎は、開業するにあたって名前を「指圧治療所」とすることにした。・・・との記載を発見し、言葉を失いました。徳治郎先生自身は“自伝・おやゆび一代”の中で・・・旗揚げは、無免許アンマで検挙された因縁の地、室蘭ですることに決心がついた。室蘭市の常盤町に一戸を構えて、こんどは誰はばかることなく堂々と看板を上げて開業したのが、その年の九月・・・と書かれています。
教師猫が“指圧一代記”の記載に愕然としたのは、“自伝・おやゆび一代”を補正すべき“浪越徳治郎・指圧一代記”に、教師猫が徳治郎先生から直接聞いた内容とは全く異なる事柄が記載されているからです。指圧一代記の“お国に認められた技術に確固たる自身の治療法をブレンドするのだからいわば〈浪越流〉である”との記載が、真に、徳治郎先生の言葉であれば、指圧は、小田川流あん摩の流れを汲む、“浪越流あん摩術”となります。先生は『指圧はあん摩にあらず』と指圧師法の独立運動に生涯をかけられました。さらに、あん摩やマッサージでは危険が多いと施術を躊躇する部位である前頚部や腹部を指圧では重要部位とします。“治療の原点は、・・・背中を圧して治した術である”という言葉から、徳治郎先生を連想することは、教師猫に限らず、先生の教えを受けた者には不可能です。“開業するにあたって名前を「指圧治療所」とすることにした”と、伺ったことはありません。
徳治郎先生が“あん摩とマッサージ”という二つの資格を取得された理由は、双方の資格を有しないと、徳治郎先生が創始された、独自の手技(押圧法)が無資格の手技と認定された場合、あん摩(マッサージ)法違反となり、取締りの対象とされると考えられたからです。また、双方の手技を学ぶことで、双方の手技の異なりだけでなく、先生が創始された手技(押圧法)の独自性が確認できた。二つの資格は(後日)返納されたとも伺っております。
お答えします。
内弟子 投稿者:ハリセンボン 投稿日:2005/12/17(Sat) 19:13 No.962
>教師猫さんの指圧は全く独自のものなのでしょうか?
教師猫の手技は、浪越徳治郎先生が創始され、『指圧』と名付けられた、専門用語では“押圧法”と呼ぶ手法を用いるものです。ですから、教師猫独自のものではありません。
浪越流? 投稿者:私も浪越流 投稿日: 2005/12/17(Sat) 21:14 No.966
>指圧姿勢も先生ごとに異なり、教えていただく先生ごとに姿勢を変えなければなりません。
>しかもどの先生も浪越流です。同じ浪越でありながらずいぶん主張がバラバラに感じます。このままどっちつかずの指圧を習得し、卒業して免状をもらえたら、それで「浪越流」と名乗ってもよいものなのでしょうか?
指圧を国の判断に基づき“三法の手技の一法”とする専門学校と、“唯一医学的有効性が認められ法制化された独自な手技”とする教師猫とでは指圧の『流派』に対する捉え方が根本的に異なります。「浪越流」と名乗ってもよいか否かは、私も浪越流さんの判断次第で良いのではないでしょうか。但し、教師猫の指圧は指圧(押圧法)であり、「浪越流指圧」ではありません。教師猫が「浪越流指圧」または「浪越流○○指圧」と呼ぶとすれば、それは押圧法の〔必須と非必須条件〕を満たし、その“様式などを変えた手技”のみです。
興味あり 投稿者:ピン 投稿日:2006/02/02(Thu) 13:27 No.1218
ホームページにこんなことが…
[開業するにあたって名前を「指圧治療所」とすることにしたと、伺ったことはありません。]と。徳治郎先生の治療院ってなんて名前だったんだろ?
教師猫先生知ってるなら教えてください。うちの治療院もその名に…
Re: 興味あり 投稿者:教師猫 投稿日:2006/02/02(Thu) 23:21 No.1222
ピンさん。こんばんは。ピンさん。治療院の名称にお悩みですか・・・
開業するときの名称にはこだわったり、悩むものですね。
教師猫は治療院の開業時の名称を先生から頂いた『指圧治療院 母心』としましたが、保健所から“流派を表す”とクレームが付き、三ヶ月程度で現在の名称に改めました。
>徳治郎先生の治療院ってなんて名前だったんだろ?
>教師猫先生知ってるなら教えてください。うちの治療院もその名に…
先生が最初に掲げられた療法は『あん摩療法』でも『指圧療法』でもありません。
後日、変更されましたし・・・ピンさんの参考にはならないと考えます。
“どうしても”と言われれば教えないこともないですけど・・・
Re: 興味あり 投稿者:ピン 投稿日:2006/02/03(Fri) 00:20 No.1224
…もったいぶられてる気が…でも聞いてみたい。
……教えてください。
Re: 興味あり 投稿者:教師猫 投稿日:2006/02/03(Fri) 00:36 No.1225
ピンさん。わかりました。 ホームページの方に続きとして書き込みます。
〔加筆〕ピンさんの質問に続きとして答えます
治療院の名は
徳治郎先生が開業された当時の『浪越治療院』の写真を掲載します。〔ご親族から提供〕
看板に『圧迫療法・浪越治療院』と書かれています。しかし、この名称は、現代のあん摩の一法である“圧迫法”を意味したわけではありません。もちろん、“浪越徳治郎・指圧一代記(監修:浪越学園・日本指圧専門学校)”の《自分には小田川師匠から授かった按摩の極意に加え、独自に開発した技がある。・・・お国に認められた技術に確固たる自身の治療法をブレンドするのだからいわば〈浪越流〉である。〈浪越流〉の自分の宝はこの指だ。指で圧して治療するのだから〈指圧〉というのはどうだろう。相談すると、兄たちも大賛成だった。》という記載とも異なります。徳治郎先生があん摩とマッサージの資格を取得されたのは法を順守されるためでした。さらに、双方の技術修得により先生が創始された手技の独自性も明確となり、開業当時、“あん摩やマッサージ”の看板でなく、独自の名称を望まれました。そんな折、ある医学関係者から『浪越さんの手技は西洋医学的に言えば“圧迫”になる、“圧迫療法”と名乗ったらどうか』との助言を受け、近代的な西洋医学用語で『圧迫』と呼ぶのならと『圧迫療法』と名付けられました。後日、『圧迫の先生』とか『圧迫さん』と呼ばれることの耳障りやイメージの悪さに『指圧』と訂正されたと伺いました。同時代に、玉井天碧により『指圧(指壓)』という用語が使用されましたが双方の関わりは全くありません。