現生人類(Homo sapiens)の子供について
現生人類の子供は、ありとあらゆることを、学習する必要があります。
人類の進化は、"2足歩行"に起因すると言っても、過言ではないと思います。
現生人類は腹部から腰部に体の重心を移動し、安定した直立二足歩行を獲得しました。その結果、自由になった前足(前肢)を手や腕(上肢)として使用できるようになり、著しく大脳が進化しました。しかし、重心移動に伴って生じた、脊柱や骨盤の変化により、出産可能な子供のサイズが、制限される結果となりました。現生人類の子供は親の出産可能なサイズ迄という、サイズ制限付きで、生命を維持する機能を備えなければならないのです。
現生人類は脳を著しく進化させました。脳は、最もエネルギーを消費する器官であり、成人では、摂取したカロリーの20%、酸素の25%を消費します。新生児の脳が、機能を維持するためには最低500ccほどの容積が必要となります。
脳が消費するエネルギーを提供するため、消化器官や呼吸器官等のスペースも確保しなければなりません。結果、手足のサイズや機能は犠牲にされました。
(筋肉量:正常成人は体重の約1/2、新生児の場合体重の1/4)
新生児では呼吸や体温調整さえ原始反射に頼っています。しかし、原始反射は一定期間で消失してしまいます。原始反射の消失以前に、それらを学習できなかった場合、生命維持さえも困難となります。 新生児と成人では睡眠さえも似て非なるものなのです。
現生人類の子供は、親の都合で、出生後に全てを学習しなければなりません。
脳性麻痺による運動機能障害の原因として、学習を阻害されたことに着目することも重要と考えます。運動機能の向上を図るには、まず学習条件を整えることであると考え取り組んでいます。