様変わりする若年者の腰痛
近年、若年者の腰痛が様変わりしています。従来の治療法では症状が改善されないばかりでなく、悪化の可能性もあり、十分な注意が必要です。
腰痛の様変わりは、患者の腰痛緩和姿勢の観察により、簡単に判断することができます。
従来、腰痛緩和姿勢は"立位や正座"でした。現在、若年者の多くがこの姿勢では腰痛が緩和せずに、従来では腰痛の苦痛姿勢であった“半座位やあぐら姿勢”にて緩和が観察されています。
主な原因は、日本人の生活様式の変化によるものと考えています。
古来、日本人の歩行は“なんば歩行”と呼ばれ、現代とは異なる歩行でした。
それは右足を前に出したとき左手ではなく、右手又は右肩が前に出る歩行です。
日本古来の道具(くわ、かま)は同側の下肢と上肢を同調させて使用します。
日本舞踊、盆踊り、歌舞伎、相撲、柔道、剣道、弓道等の基本動作も同様です。
中高年の腰痛は"腰椎後屈"や"浅腹筋"等の筋力低下に由来し、加齢と共に増加する老化現象の一種と考えられ、運動、安静等により自然治癒もありました。
若年者の腰痛は"腰椎過前屈"や"深腹筋"さらには下肢の筋(閉鎖筋群)等に由来するものが増加し、腰痛のみならず自律神経失調症、生理痛、不妊、流産等も考慮すべきです。
若年者の腰痛は老化現象とは異なり、新たな疾患として認識すべきと考えます。
現在、若年者と中高年の腰痛を“区別して対応”する医療機関は少ないようです。多くは従来の治療法で対応されています。さらに、若年者の症状は若年ゆえ自覚も伴いにくく、徐々に進行してしまいます。
軽症期に軽視すれば深刻な事態を招きかねません。
早期発見、早期治療が重要となります。(何回かに分け詳しく講義します)