患者対応の秘伝
今回は、〔mixiの『教師猫の日記』〕への書き込みから抜粋して掲載します。
患者対応の秘伝
患者対応の秘伝 投稿者: 教師猫 投稿日:2011年06月27日23:46
○○先生へ
先生 お元気でいらっしゃいますでしょうか
おかしな書き出しでございますこと 深くお詫び申し上げます
実は 感染症から一命を取り留めたあと どうしても先生の名が思い出せず
先生方に確かめたところ 仁友堂には そのような先生などおいでにならず
ここは わたくし達がおこした治療所だと言われました
何かがおかしい そう思いながらも
わたくしもまた 次第にそのように思うようになりました
夢でも見ていたのであろうと
なれど ある日のこと 見たこともない 奇妙な銅の丸い板を見つけたのでございます
その板を見ているうちに わたくしは おぼろげに思い出しました
ここには 先生と呼ばれたお方がいたことを
そのお方は 揚げだし豆腐がお好きであったこと 涙もろいお方であったこと
神のごとき手を持ち なれど 決して神などではなく
迷い傷つき お心を砕かれ ひたすら懸命に治療に当たられる
仁をお持ちの人であったこと
わたくしはそのお方に
この世で 一番美しい夕日をいただきましたことを 思い出しました
もう名も お顔も 思い出せぬそのお方に 恋をしておりましたことを
なれど きっとこのままでは わたくしは いつか全てを忘れてしまう
この涙のわけまでも失ってしまう
なぜか耳に残っている 修正力という言葉
わたくしは この思い出を無きものとされてしまう気がいたしました
ならば と 筆をとった次第にございます
わたくしがこの出来事にあらがうすべはひとつ この思いを記すことでございます
○○先生
改めて ここに書き留めさせていただきます
橘咲は 先生を お慕い申しておりました
橘 咲
患者対応の秘伝が書かれています。読み解いてみてください。
教師猫。
書き込み
投稿者:さとうきび 投稿日:2011年06月28日 00:23
橘咲さんから南方先生へのお手紙ですね(^_^)
私は
『神のごとき手を持ち なれど 決して神などではなく
迷い傷つき お心を砕かれ ひたすら懸命に治療に当たられる
仁をお持ちの人であったこと 』
というところが
秘伝なのではないかと
私は思います。
投稿者:教師猫 投稿日:2011年06月28日 10:27
さとうきびさん。
>橘咲さんから南方先生へのお手紙ですね(^_^)
はい。
TBS系ドラマ「JIN―仁―」完結編の最終回(26日)で放送された
江戸時代へタイムスリップし、仁友堂(診療所)を立ち上げ、多くの患者を救い
医師を育て、現代にタイムスリップしてしまった南方医師に宛てた手紙の全文です。
>・・・というところが 秘伝なのではないかと 私は思います。
正解です・・・と申し上げたいのですが
・・・というところは秘めて伝える必要はないと思いますが いかがでしょうか
秘伝は あくまで秘めて伝えなければなりません。
チャレンジしてみてください。
教師猫。
投稿者:れぶんまん 投稿日:2011年06月28日 12:17
教師猫先生ありがとうございます
何度か読ませていただきましたが、よく分かりませんので、
ここは失敗を怖れずに挑戦させていただきます!
一番美しい夕日をいただきましたことを…
このあたりでグッときました!
よろしくお願いします!
【mixiからの転記はここまで】 ただし、これはmixiへの書き込みを禁止するものではありません。
お答えします。
教師猫流秘伝
秘伝とは、通常、『秘密にして容易に伝えない奥義』・・・すなわち極意を指しますが、教師猫は、『秘めて伝えなければならない事象』を含むと解釈しています。
すなわち、真実であってもあまり公にしたくない事象も含むのが、教師猫流秘伝と解釈してください。
【余談】
文中の『わたくしがこの出来事にあらがうすべはひとつ』の“あらがう”が抗う(あがらう)の誤りでは・・・といった論争があるようですが教師猫は、「あらたしい」を「あたらしい」と称した当時の若者言葉(流行語)の一種と解釈しています。
現在、「あらたしい」は「あたらしい」と改められて使用されていますが、「あらがう」は、あがらいきれなかったようですね。
患者としての思いは・・・修正力
情動の世界において、親子が離れ離れになった場合、子供が親を忘れる期間より、遥かに短い期間で親は子供を忘れてしまいます。授乳期間であっても・・・わが子を拒否することも稀ではありません。
治療家と患者が離れたら・・・病気の改善の有無を問わず、治療家と患者が離れたら・・・
患者の方が治療家以上の記憶力を持つと仮定しても、患者は患者でなくなり・・・
患者としての記憶や思いは色あせていくばかりではなく、
実は 感染症から一命を取り留めたあと どうしても先生の名が思い出せず
先生方に確かめたところ 仁友堂には そのような先生などおいでにならず
ここは わたくし達がおこした治療所だと言われました
何かがおかしい そう思いながらも
わたくしもまた 次第にそのように思うようになりました
と表現されるように・・・患者としての記憶や思いは、患者でなくなれば速やかに修正されていくのです。
教師猫からの秘伝
『患者を・・・患者でなくすこと』 これこそが治療家の宿命であり、自らが求める最終課題でもあります。
そのために、患い人に“自らの力で自らの患いを治癒させた”と自覚させ 自立させることも肝要です。
先生は 「神のごとき手を持ち なれど 決して神などではなく 迷い傷つき お心を砕かれ ひたすら懸命に治療に当たられる 仁をお持ちの人」・・・と患者は真心を込めて云ってくれます。
しかし、元患者の人格変化は、別の自分(交代人格)が表に出てきて一時的にその心身を支配し、本来の自分はその間の記憶が途切れるという解離性同一性障害の症状と酷似していると認識してください。
迷い傷つき、仁を尽くした患者を生涯忘れることのできないあなたを教師猫は“治療家”として認めます。しかし、患者としての記憶や思いは、患者でなくなれば速やかに修正されていくことを認識してください。このことが最終話の橘咲の子孫と対応する南方仁の言動に見事に表現されていると感じました。
これ以上のことはあなたの感想と共に [教師猫宛に直接メールで質問してください]・・秘めて伝えます。