手掌の感覚について
精密機器に、安定した精度が要求されることは当然ですし、その精度を立証することも不可欠です。
ある精密機械の精度を立証するため、さらに精密な安定した精度を有する検査機器が必要となります。その機器の精度を立証するためには・・・。堂堂巡りのような説明になってしまいました。しかし、超精密機械の、精度を検査し、最終的にその製作を託されているのは“優れた職人の五感”なのです。
現存する、最も優れた検査機器は“優れた職人の五感”なのです。「なーんだ」と見くびらないで下さい。“優れた職人の五感”とは、恐ろしいほど凄まじいまでのものなのです。
人の視覚(色覚、形態覚、明暗覚など)の色覚について考えてみましょう。人が識別できる赤色から紫色までの、光の波長は約380~780nmです。人は、最大でも400nm(1万分の4mm)の幅を虹の色として“簡単に7色”に大別できます。単に赤色だけでも“表現はできないが、識別はできる”という条件で区別すれば何種類に分類できるでしょうか。このことは、人の視覚がどのくらいの波長(nm)の差を識別していることになるのでしょう。
人の手指の触覚は10ミクロン(μ)の凸凹を簡単に識別することができます。これには特別な訓練を必要とはしません。“頭髪のキューティクルは逆立つと10μ程度です。10ミクロン(μ)の凸凹の感覚を手指で感じてみてください。職人の熟練した指は簡単に1μを識別します。
熟練した医師や指圧師の手指は患者の身体のわずかな異常も察知します。ときとして、検査機器では識別できない程のわずかな異常にも敏感に反応し結果に反映します。
『ハイテク機器にまさる“優れた職人の五感”を修錬で獲得してください』