姿勢について
正しい姿勢
一般に“正しい姿勢を守りなさい”とか“姿勢が悪い”と指摘されることがあります。治療家が患者指導において「姿勢に注意してください」と言い放つこともあります。患者も慣れたもので「はい。わかりました」と答え、事なきを得ます。もし、患者から具体的に質問された場合、治療家にどれ程の回答意識や準備があるのかはなはだ疑問です。正しい姿勢とは“良いとする身体の構え”のことで、スポーツや作業動作において、各々正しいとされる姿勢があります。これらには明確な目的があり、指導者はそれに準じ正しい姿勢である“良いとする身体の構え”を指導します。さらに、近年これらには多くの医学的要素が取り入れられ実践されています。しかし、スポーツや作業を行わない状態での正しい姿勢“良いとする身体の構え”については意外に曖昧なようにも思えます。
立位姿勢
人は独自の直立姿勢をとり、人の骨格や骨格筋は解剖学的に他の動物に類ない効率の良い立位機能を有しています。しかし、骨格や骨格筋のバランスの乱れは骨格筋や骨格に様々な悪影響を与えます。さらに、悪循環を引き起こします。初期の骨格筋や骨格バランスの乱れに自覚症状が伴うことは稀で、様々な不定愁訴の誘引となったり機能障害の副因として隠れていることが日常のようです。姿勢指導で改善が望めるのは骨格筋や骨格のバランスが正常な時期に限られることを認識してください。
他覚的診断による早期発見
無自覚のうちに進行する骨格や骨格筋のバランスの乱れは、他覚的診断による早期発見が有効かつ重要となります。詳細の説明は講義で行ないますが、人の立位姿勢維持は姿勢によるバランスのみで補うことが可能です。立位姿勢維持には骨格筋の筋力をほとんど必要としないことや立位姿勢保持に殿筋群や大腿四頭筋の収縮が認められれば“疾病予備軍である”という認識を持ってください。
シルエット
腰椎過前屈と脊柱側弯のシルエットを掲載します。骨格筋の緊張部位や弛緩部位、さらに疲労性萎縮部位や廃用性萎縮部位から、骨への影響を考慮し悪循環によって生じる疾患を想定してください。
腰部MRI(大腰筋)画像
ヒントとして腰部MRI画像を掲載します。なおこのMRI画像は上部シルエット患者のものではありません。画像の左右に注意し、大腰筋に着目し熟慮してください。