HOME > わが子のための指圧講座 > 17回 情動と理性脳(2)

情動と理性脳(2)

先に進む前に

先に進む前に、『 治療ってな~に』から『情動と理性脳』までに説明した内容から人独自の疾患である“心因性”自律神経失調症に関する事柄を書き出します。


  ・病気とは、身体の機能が、『正常には働いていない』こと。
  ・治るとは、身体の機能が、再び正常に働く状態に『戻る』こと。
  ・治すとは、身体の機能を再び正常に働く状態に『戻す』こと。
  ・身体は、体内環境を一定範囲に保つ『ホメオスタシス機能』を持つ。
  ・哺乳類では、『自律神経と内分泌腺』がホメオスタシス機能を担う。
  ・フィードバックは、『負のフィードバック』と『正のフィードバック』にわける。
  ・身体のホメオスタシス(恒常性)は、『負のフィードバック』で保たれる。
  ・『正のフィードバック』はホメオスタシス機能とは逆行する。
  ・身体調和の連絡係は、『ホルモン』で、ごく微量で重要な働きを担う。
  ・ホルモン異常とは、ホルモンの『分泌量の異常』。
  『ホルモンバランスの乱れ』とか『ホルモン失調』と呼ぶ。
  ・神経細胞には、ホルモンを放出する機能と受け取る機能がある。
  ・ホルモンの伝達を血液循環で行うものを『ホルモン系』と呼ぶ。
  神経で行うものは『神経系』と呼ぶ。双方とも情報を伝える。
  ・ホルモン系と神経系では、『情報伝達速度』が著しく異なる。
  ・自律神経は『不随意』で自律した神経。植物的機能の調節を担う。
  ・自律神経は交感神経と副交感神経に区別され、両者は『拮抗的』に働く。
  ・交感神経は、副交感神経より、いつ如何なるときも『優位となりえる』。
  ・自律神経失調症とは、自律神経の『調和が失われ』て出現した症状。
  器官の構造や形状的な異常が診られず、『不定愁訴症候群』と呼ぶ。
  カウンセリングや向精神薬などで対処されている。
  ・押圧法では、『他覚的診断』で自律神経失調症と詐病との区別が可能。
  ・自律神経失調症は、『情動と理性(情操)』を兼ね備えるゆえの病気。
  そこには“人が人であるがゆえに”という、『宿命的な理由』が存在する。
  ・交感神経は、“情動の影響”を受け、激しく『正のフィードバック』を起す。
  ・情動は、身体の『生理的変化』を伴う感情で、本能や動物脳と深く関わる。
  ・人の脳は、『バージョンアップ』で、周辺機器に埋もれたパソコンのよう。
  ・情操とは、文化的で社会的価値をもつ、『人独自の複雑で高次な感情』。
  ・人間らしく生きることが、『動物脳と理性脳(感情と言動)に摩擦』を生じる。
  自律神経失調症の原因の正体は、動物脳と理性脳の摩擦『ストレス』。


ここまでの内容が、イメージ的に理解出来ていないと、以後の説明に混乱を生じやすくなります。わからない部分は、〔とんびさん〕のように掲示板か〔教師猫〕へ質問してください。〔会場での質問を制限する意味ではありません〕


ある光景

“人が人間らしく生きること”が、情動と理性(情操)の食い違いを生じさせます。自律神経失調症の原因となる、動物脳と理性脳の摩擦について概説します。

昼食前に上司に呼び付けられ、上司のミスを責任転嫁され、散々罵倒された。立場的に言い訳もできず、ひたすら謝罪し、その場を治めた後に、食事にでる。いつもの店。新人の店員が(注文した品を後から来た客に出して)、「ご注文は?お決まりですか」と声をかけてきた。「すぐできる物」を注文。食べ始めたら携帯が鳴る。「急ぎの仕事」と上司の声。かき込んで会社に戻り、部下のミスを補う。


自律神経の動き

ある光景での、自律神経の動きと消化器系の働きを推察してみます。

昼食前
  昼食準備のため、交感神経優位から徐々に副交感神経優位に移行中。
  唾液や胃液などの分泌は準備され、食事の準備は完了。

上司に呼び付けられ
  非常事態を感じ、瞬時に交感神経優位となる。食事の準備は中止。

責任転嫁され、散々罵倒され
  交感神経は異常緊張を起し、身体内部では臨戦態勢を取る。
  激怒する情動を理性(情操)が抑え、行動に臨戦態勢は表さない。
  消化器系の動きは、完全に抑制される。

言い訳もできず、ひたすら謝罪
  交感神経の異常緊張は高まり、身体内部では闘争態勢を取る。
  激怒する情動を理性(情操)が抑え、行動に臨戦態勢は表さない。
  消化器系の動きは、完全に抑制されたまま。

その場を治めた後に、食事にでる。
  交感神経の異常緊張は治まらず、身体内部では闘争態勢が続く。
  上司の影響を受けなくなったため、情動への抑制が緩和する。
  情動は容易に『正のフィードバック』を起しやすくなる。
  消化器系の動きは、完全に抑制されたままである。

「お決まりですか」と声をかけてきた。
  情動は『正のフィードバック』を起し、交感神経は過緊張となる
  理性(情操)の抑制が効かず、『正のフィードバック』を起した情動の命ずるまま闘争行動をとる場合もあるが、この場も理性(情操)が行動を抑えた。
  消化器系の動きは、完全に抑制されたままである。

「すぐできる物」を注文~かき込む〔食事中〕
  理性(情操)の「時間だから食べなさい」という命に従い摂食行動を行なう。
  消化器系は交感神経にブレーキをかけられた状態にもかかわらず、放り込まれた食物の刺激に反応し、鈍く動き出す。
  情動が治まっていないので、交感神経の異常緊張は継続中。

会社に戻り、部下のミスを補う。
  行動は情動を理性(情操)が抑制するが、交感神経の異常緊張は継続中。
  時に、交感神経の緊張に変化が生じると、放り込まれた食物の刺激などに反応し消化器系が活動。
  自律神経が失調を起し始める。

人間らしく生きることが、『動物脳と理性脳の摩擦』を生じる。 自律神経失調症の原因の正体は、動物脳と理性脳の摩擦による自律神経の混乱です。









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