「脳について」の話
「脳について」は、皆さんが最も関心を持たれる重要なテ-マだと思います。
あまりにも大きなテ-マで、皆さんの知りたい事柄や既に習得されている知識も様々だろうと思います。講義時間内でお話できる事柄は、わずかです。
講義中の皆さんの様子により、話の内容を変えていく予定です。
脳に関わる「指圧法」を習得するために、脳の細部や正確な知識は、それほど重要ではありません。しかし「全体的なイメ-ジ的知識」の習得は重要です。
(指圧治療を理解するには、局所的な知識より全体的な医学知識が有効です)
今回は、脳障害の原因と関わりが深い「脳と血液」について説明いたします。
脳は主に、神経元(ニューロン:神経細胞と神経線維)と神経膠(グリア:神経膠細胞と神経膠線維)と血管で構成されています。硬さは綿濾しの豆腐位です。
脳脊髄液に浮いた状態で、3枚の膜(軟膜、クモ膜、硬膜)に包まれ、頭蓋骨に守られています。脳は体全体で消費される総エネルギ-の25%以上を消費しています。ですから、この運搬に関わる血液や血液循環に障害が生じると重大な影響を受けます。さらに、脳内の血管が「終動脈」と呼ばれる特殊な分岐をしていることや、脳が非常に軟らかい器官であることによる影響も重大です。
血液循環障害を説明するうえで、必要となる主な用語について書き出します。
出血:血液の全成分が血管外にでること。
塞栓:血管を塞ぐ物。
(局所性)貧血:局所の動脈血流入不足。
充血:局所の動脈血流出不足。
うっ血:局所の静脈血流出不足。
溢血:組織間の出血。
終動脈:脳や心臓等に見られ、小動脈の吻合(枝の間の連絡枝)がない。