コツ
コツ
投稿者:レイ・セホー 投稿日:2005/07/07(Thu) 14:33 No.696
こんにちは。
先日、患者さんから骨粗鬆症について質問を受けました。
女性、68歳、160cm、49キロ
今まで自分の骨量を測ったことはないが、捻挫することが多いので、今後骨折が心配だそうです。
HPの「骨の代謝と再生」「骨粗鬆症と石灰沈着」を読み直してみると、カルシウムの摂取よりも骨刺激の方が重要であると理解しました。
本文中に「正しい骨粗鬆症防止法や指圧の有効性を示すべきだと考えます。」とあります。これについて具体的にご教授ください。お願いいたします。
Re: コツ 投稿者:教師猫 投稿日:2005/07/08(Fri) 00:12 No.698
こんばんは。レイ・セフォー・・・じゃなかった。レイ・セホーさん。
>今後骨折が心配だそうです。
現代人の寿命が延び、『筋トレ』だけではなく、『骨トレ』も重要となってきました。
転倒→大腿骨骨折→寝たきり→認知症(痴呆)のコースが多くなっています。
指圧では『骨折治療』に直接関わることはありませんが、脳血管障害同様に
早めのリハビリや対応が重要です。結果が著しく異なってきます。
近いうちに『例の場所』に書き込みますが、現在、自律神経失調症の原稿と
夏期大学(夏期大学のために過剰の患者さんへの対応)があるので少し時間をください。
お~と、違った。夏期大学中は、教師猫は誰にも邪魔されない場所で、休暇で~す。
急ぎの質問であれば、メールで対応します。・・・但し、休暇中はダメですよ。くれぐれも。
Re: コツ 投稿者:レイ・セホー 投稿日:2005/07/08(Fri) 09:28 No.699
おはようございます。
急ぎではありませんので、よろしくお願いします。
お答えします。
>HPの「骨の代謝と再生」「骨粗鬆症と石灰沈着」を読み直してみると、
>カルシウムの摂取よりも骨刺激の方が重要であると理解しました。
>本文中に「正しい骨粗鬆症防止法や指圧の有効性を示すべきだと考えます。」とあります。
>これについて具体的にご教授ください。
レイ・セホーさんへの具体的な回答は・・・困りました。具体例なしに具体的回答を求められても・・・。
“骨粗鬆症の原因はカルシウム不足で予防にはカルシウム摂取が不可欠”という風潮が強いので患者指導には注意が必要です。骨粗鬆症発症原因にカルシウム摂取不足は深く関わりますが、カルシウム摂取不足のみが骨粗鬆症発症原因ではありません。 〔骨の代謝と再生〕や〔骨粗鬆症と石灰沈着〕に、患者指導や説明用の材料を書き込んでいますので、各患者さんの個人差を配慮し指導してください。
骨折も刺激で生じますが、『骨の再生』も刺激により異なります。同様に『骨の変形』も骨刺激が関わり、『骨の変形等の改善』にも骨刺激が関わります。極論的な表現をすれば、骨代謝に悪い刺激は変形を促し、それらをよい刺激とすれば改善が望めます。 〔股関節形成不全・臨床〕を参照してください。
なお、これらについては後日、別項にて説明の予定です。
伝説の骨折治癒
浪越の伝説的骨折治癒を二例紹介します。
井沢正先生の頚椎骨折
指圧効果による奇跡的ともいえる伝説的な骨折治癒(骨折後の改善例)といえば、井沢正先生の頚椎骨折でしょう。歩行中に車にはねられ、頚椎骨折による意識不明の重態、生存も危ぶまれる状態から、家族の希望で医師の許可を取り指圧治療を開始。数年後には日本指圧協会主催の夏期大学で講師を務められ、指圧効果を語られました。先生の事故のことは伝え聞いた内容ですが、夏期大学で講義を行なわれた様子は、頚椎骨折により生存も危ぶまれる状態からの復帰というより、交通事故そのものを否定したくなる光景でした。当時、先生が90歳を超えておられたことも書き加えておきます。
門間英夫先生の大腿骨頚部骨折
大腿骨頚部骨折の場合、骨折治癒後に健常歩行を望むことは困難となりやすいのですが、門間先生のケースは異なっていました。先生のお話では、「足が痒い」という口実をつけ、固定ギプスの膝蓋骨部分を切り取ることで、膝蓋骨周囲の指圧を可能とし、大勢の見舞客(指圧師および学生)に膝蓋骨周囲と足の指圧を依頼した。退院時に松葉杖が不要だっただけでなく、健常歩行が可能だったとのことです。
先生が左右どちらの大腿骨を骨折されたのかを、姿勢や動作から判断することはできませんでした。
椎骨や大腿骨の骨折は→寝たきり→認知症(痴呆)のコースを歩みやすいものです。高齢な両先生の伝説的骨折治癒例は指圧の有効性のみならず、適切な早期対応法を示唆するものだと考えています。
〔回顧〕門間先生との関わり
門間英夫先生は私のクラスの実技講師でした。〔乳腺炎臨床〕で公開した『秘伝の手技』も門間先生の手技を基本としたものです。学生時代、他には溢せない愚痴や相談など公私ともお世話になりました。いくつかの『秘伝』も教わり臨床の場で役立たせていただいております。なかでも『蘇生法』は予期せぬ場所で役立ち、その効果には驚嘆しています。
警察からの電話
平成二年、日本指圧協会主催の夏期大学に出席し、浪越徳治郎先生に同行していたときのことです。夏期大学実行委員から、私宛に「警察から電話」という伝言が届きました。電話は“私の地元警察”から「私の人命救助の功労に対し感謝状を贈ることが決まった」との知らせでした。徳治郎先生に報告すると「コピーを送りなさい」と言われ、後日『指の光』に掲載されました。
静岡新聞〔1990.8.3〕記事より抜粋
新居署(石川幸治署長)は二日、海に落ちた男性を救助した湖西市内などの男性三人に署長名の感謝状を贈った。表彰されたのは湖西市鷲津、指圧師平島利文さん、新居町浜名、漁業・・・〔中略〕現場に船を急行させ、この男性を引き揚げた。男性は既に意識がなく呼吸、心拍とも止まっていたが、平島さんが指圧による蘇生法を施し呼吸を回復、湖西市の共立湖西病院に収容され、一命を取り留めた。
困惑してしまいました
ここで、心肺停止から一命を取り留めさせることができた手技が、門間先生から伝授された“蘇生法”であることの説明は蛇足かと思いますが、後日、門間先生の高弟(門間会幹部)の先生に、事の成り行きを説明したところ、「私は(蘇生法について)知らない」と告げられ困惑してしまいました。イタズラ小僧のような目で、笑みを浮かべ「これは秘伝だぞ」と教えていただいたのですが・・・本当だったようです。
蘇生は単なる偶然
新聞に『平島さんの指圧活躍』と報じられましたが、蘇生は単なる偶然だったのか、それとも“再現性”を持つ指圧効果なのか。〔指圧研究会・咲晩〕諸君のために判断材料を提供します。
救助の状況
浜名湖にて釣りのポイントを船で移動中に、岸壁から30~40人が大声で手を振って呼んでいるのに気付きました。近づいて見ると、男性がうつ伏せの状態で水面に浮いていました。男性が落ちた場所は幸いにも流れのない場所でした。「10分位前に落ちた」、「早くしてくれ」、「落ちてピクリとも動かない」と大声が飛び交う中、船首に行って手を伸ばす私を「だめだ、引きずり込まれる。いいと言うまで、待て」と船頭さんは大声で制止しました。わずか50センチメートル外側に出れば、男性ばかりか私まで、激しい下げ潮に巻き込まれ沖へ流される状態だったのです。船頭さんの制止がなければ・・・ゾッとしました。
男性は既に意識不明の心肺停止状態。男性を横臥にし気道確保。腹部操作で海水を吐かせ、背部より“蘇生法”を開始。2~3メートル離れた岸壁の上から「おまえ、殺す気か」と激しい“ヤジ”も飛び交った。「うるさい、黙れ。素人じゃない」「心臓も止まっている。もう、死んでる」と応酬。“蘇生法”を継続した結果心肺機能は回復。野次馬に機能回復が伝わり、岸壁からは歓声が上がった。そのころ救急車が到着。船を上陸できる場所へ移動し、意識不明の男性を救急車へ搬送。詳細を消防隊員に伝え託した。
翌日の新聞に目を通してみても、事故の記事はない。「助かったのかな~」と案じていても連絡はなし。事故から四日後、男性の妻と名乗る方が訪れた。簡単な挨拶をされたが、訪問の目的は救助に対するお礼ではなく、医師から今後の治療に関わるからと“救助手段”を尋ねるように命じられたためだった。詳細に問われ、詳細に答えた。男性の意識は当日に回復し、会話も不自由なく、水没直前の記憶も、「クーラーの中に、釣ったアジが三匹入っている」と非常に明確との報告を受けた。
医師からの疑問
医師からの疑問とは、病院に収容されたときの症状などが『通常の水没から救助された患者』の状態とは著しく異なっていた。「まるで薬剤を注射したような状態だがその様な痕跡はない。なぜ、あのような状態になったのか、今後の治療のため“救命手段の詳細”を知りたい」とのことだった。
警察の判断
なぜ、私に感謝状を贈られるのかを警察の担当官に質問しました。それは、人命救助の感謝状を授与されるには、通常、救助された人からの申請があり、その後に審議判断されると聞いていたからです。実は、私たちが救助した男性は病院を退院後、わずか数分の私の治療院を素通りして帰宅してしまい、その後も音信不通なのです。住所も名前すら知りません。そんな彼や彼の家族が『感謝状授与申請』を警察に出すとは考えられません。さらに、溺れている人を救助しても、何か変ですが、通りかかった船での救助は人命救助の対象とはなりにくいのだそうです。船頭の石田鉄雄さんは、過去に7~8人を救助しているとのことですが・・・感謝状が授与されたことはありません。案の定、申請はありませんでした。
〔警察の担当官から聞かされた内容を抜粋します〕
病院からの通報を受けた警察は、事件と事故の両面から捜査した。現場が公共の公園施設内のため施設職員が『第一発見者』、『通報者』、『目撃者』など数十人の氏名と連絡先を記録報告していたため、私たちが事情聴取を受けることなく大勢の証言で事故の全容が明らかになった。当事者からの申請はないが、新居署の捜査により、多くの目撃者や担当医師の証言で“指圧による蘇生”を捜査員が認め、感謝状を贈るべきと署長に進言した。進言を受け審議した結果、感謝状授与が決まった。
天国の門間先生へ
先生。指圧による、“心肺停止時の蘇生法”は役立ちました。一例だけですが、もう、勘弁してください。あの時は一心不乱でした。冷静になると背筋が凍る“恐ろしい技”です。理論的に何とか解析しました。他に転用し、応用技術として伝えますが、“秘伝の技”は独断で封印し、伝授することを拒否いたします。