不動性萎縮とは、どんなことですか
〔Q〕不動性萎縮とは、どんなことですか
〔A〕
不動性萎縮は、生体の器官が使われないために痩せ、機能が低下することで、廃用性萎縮とも呼びます。不動性萎縮は、筋肉や骨だけでなく、男性の前立腺を除いた、全ての器官に生じます。
《筋肉と骨の不動性萎縮について》
健常なネズミを“手足がブラブラな状態”になるように腹帯で吊り下げ、その他の条件は変えずに2~3週間飼育します。その期間ネズミは宙吊りですから手足に負担がかかりません。この結果、ネズミの手足の筋肉は痩せ衰え、体を支えることさえ、困難となります。これが筋肉の不動性萎縮と呼ばれる現象です。 手足の筋肉を解剖し観察すると、筋線維の数の変化は少なく、筋線維自体が細くなり、その隙間を脂肪が占めています。骨の太さの変化も少ないのですが、骨密度が著しく減少しているのが観察されます。実験中の尿中に、多量のカルシウムの排泄も見られます。これらは骨の不動性萎縮によって生じた現象です。
同様の結果が、神経線維切断や無重力の環境でも生じます。
〔Q〕筋肉の萎縮予防や筋力増強には、何を行えば良いのですか
〔A〕
筋肉を適度に使用するか、適度な刺激を筋肉に与えることです。運動性麻痺や筋肉に萎縮があっても、何歳からでも筋萎縮の予防や筋力の増強は可能です。
次の用語を覚えてください。
- 自動運動:他者の力を借りず、自力で運動を行うこと
- 他動運動:自力を使わず、他者の力で運動を行なってもらうこと
- 自動介助運動:他者の介助を受けながら自動運動を行うこと
- 抵抗運動:負荷をかけて自動運動を行うこと
- 関節可動運動:筋肉を収縮させ関節を動かして行う運動
- 関節不動運動:関節を動かさないで筋肉を収縮させる運動