ストレスについて
世の中に“ストレス”という言葉が蔓延して、ストレスこそが諸悪の根源のように語られ、社会問題となっているようです。ストレスの正体について説明します。
ストレス(stress)という用語は、カナダの心理学者(セリエ)が“心身に防衛反応を起こさせうる刺激”と定義し医学専門用語として最初に使用しました。時が過ぎ、この用語が、世界で最も曖昧な国で日常用語として使われ始めました。
医師から「病気の原因として、考えられるのはストレスです」と告げられたときは、その単語の意味をカナダの心理学者が定めた“本来の意味”に訳してください。
如何でしょうか。医師は決して“間違い”をあなたに告げたわけではありません。
生体に作用し、その状態を変化させ、何らかの反応を引き起こすことやそのものを刺激と呼び、心身に防衛反応を起こさせうる刺激を『ストレス』と呼んでいます。すなわち『心身に防衛反応を起こさせうる』か否かの理由で、刺激を『ストレス』か『非ストレス』に分類できることになります。しかし、身近な刺激である音や光あるいは温度で想像してください。同じ刺激でも適量であれば心身を快くし、限度を超えれば防衛反応を起こします。表現法を変えてみます。刺激(生体に作用し、その状態を変化させ、何らかの反応を引き起こすもの)の中で、際限がなく加えても心身が防衛反応を起こす可能性さえないものとは、どんな刺激なのでしょう。さらに生体にはそれぞれに個体差があります。『非ストレス』という用語は理論的には定義も意味のあると思いますが現実的に具体的には、何を指すのでしょう。
ストレスを受けた心身は、当然、防衛反応を起こし対応します。通常この刺激に順応しますが、この順応がうまくいかずに心身が混乱した状態を“ストレス状態”と呼び、ストレス状態を生じさせる原因となる刺激を“ストレッサー”と呼びます。
ストレス状態が長く続き、病的状態と診断されると“ストレス症”と呼ばれます。
“ストレスを回避する”というのは、頓珍漢な考え方のように思います。
ストレスに順応するにはストレスをストレッサーに変えないことです。
(自律神経系への指圧は心身を安定させる効果があり有効です)