自律神経について
指圧効果と深く関わる神経です。交感神経と副交感神経の、主な役割や分布を知り、利用することで、その後の指圧や訓練の効果は、著しく異なってきます。
自律神経は、生命維持に必要な器官を不随意に調節する独自の独立した神経です。人の脳は働きにより、理性脳、動物脳、植物脳に分けることができます。
このときに“植物脳”と呼ばれるのが自律神経です。動物脳の影響を直接受け、 理性脳の影響は、直接ではなく間接的に受けて反応します。
自律神経は、働きにより交感神経と副交感神経とに分けます。この両方の神経は全ての器官に分布し、対立する働きを行ないます。常に、どちらかが盛んに働きます。その時々に盛んに働いている方を優位と呼びます。交感神経は、主に筋肉(骨格筋)の運動が活発な時に優位で、感情興奮時が最も優位です。
副交感神経は、安静時に優位となり、睡眠中や食事中が優位となります。
副交感神経優位から交感神経優位となり、再び副交感神経優位となる状態を、食事中のウサギが、ライオンに襲われ、逃げ延びた後、食事をした様子を例に、この時の自律神経の優位性(スイッチの位置)を体内の血液分布で説明します。 (体内の血液量は一定。優位な方に集められ、劣位な方では不足します)
食事中には、スイッチは副交感神経の方に入っています。手足の筋肉(骨格筋)に血液を送る血管を細くし、血液を胃腸(消化器)の血管に集めて、盛んに消化吸収を行っています。ライオンに襲われたら、逃げるのが優先です。スイッチは瞬時に交感神経側に、切り変わります。胃腸の血管は急速に縮み、手足の血管は広がり手足の筋肉に血液を多量に送り込み、全力で逃げ出します。その後、スイッチが副交感神経側に切り替わるためには、十分な安全や筋肉運動の停止情動の安定等のいくつもの条件が満たされなければなりません。
交感神経は、瞬時に優位になり、交感神経優位では訓練効果も半減します。
腹部指圧は、意図的に効率よく、副交感神経を優位にする最良の手段です。