第3回 基本の基礎作り
基本の基礎作り
基本の基礎とは、その上に基本が成り立つ土台となるものです。そこに、理論的あるいは実践的な矛盾が生じては成立しません。基本の基礎とは基礎であり、基本ではありません。押圧法の基本の基礎は『自支』と『把握』です。基礎が成り立ち、基本が成り立つ。基本とその基礎を明確に区別し、基礎の習練を怠らないことです。これらを欠けば押圧法そのものが成り立たなくなります。
スタンス
押圧法において、押圧姿勢による自支は基本です。この基本を習得するのにスタンスの理解と習得が不可欠となります。一般的に、スタンスという用語は足の位置や姿勢という意味で使用されます。押圧操作の場合には、『片膝立ちの膝と足の幅や姿勢』という意味で使用します。スタンス操作は押圧法の根幹で、それは押圧操作の全てに影響を与えてしまいます。スタンスはさらに多技・秘技に別れます。
ここでは、3種のスタンス(基準スタンス・最大スタンス・最小スタンス)について説明します。
スタンス基準姿勢
両膝立ち姿勢から、一方の下肢を前に出します。残した下肢の大腿と前に出した下肢の下腿が床面に対し垂直となる姿勢をスタンス基準姿勢と呼びます。(大腿と反対側の下腿は平行となります)
3種のスタンス
〔基準スタンス〕
基準姿勢での前側下肢の踵骨部から後側下肢の膝までの幅、および、その姿勢を呼びます。
〔最大スタンス〕
基準姿勢から、前側下肢の下腿を床面に垂直に保ちながら、後側下肢の膝を床面につけたまま股関節を伸展し、この時の前側下肢の踵骨部から後側下肢の膝までの最大幅、およびその姿勢を呼びます。
(最大スタンスチェック法)
通常は、基準姿勢から後方に腰を落としながら、立てた拳を踵の上に殿部を接し、踵と殿部の間に拳一個分の間隔を維持します。次に反対側の下肢を伸展させ、足趾を自力で床に押し付けることが可能な最大幅を獲得します。
〔最小スタンス〕
基準姿勢から、前側下肢踵骨部が後側下肢の膝関節内側に接触する位置まで前方下肢膝関節を屈曲させ前側下肢下腿のみを後方に移動させます。この時の両膝関節の幅、および、その姿勢を呼びます。
初級最大スタンスでの移動動作訓練
移動動作と加圧動作を安定させ、スムーズに行うためにはスタンス操作の訓練が重要です。スタンス操作訓練法は数多くあります。まずは、最大スタンスでの移動動作の練習から始めて下さい。ここでは、初級最大スタンス移動動作訓練法を説明します。これはスタンス操作の基本の基礎です。最大スタンスで構え、体幹をひねらず、上体は背筋を伸ばし正面を向きます。左右の腸前腸骨棘を結ぶ線が前後の踵骨部を結ぶ線と垂直に交わるように、後方下肢の踵骨部を位置します。上半身を前後に移動させる訓練です。この訓練はある意味で不思議な訓練なのです。移動動作基本の早期習得には効果的です。しかし、加圧動作を考慮した移動動作訓練としては不適です。実際の押圧操作にも適さない操作です。しかし、基本の基礎である初級最大スタンス移動動作を習得するか否かは移動動作のレベルアップに著しく影響します。ですから習得するまで、訓練を義務付けられ、習得後は訓練を禁止される操作です。自己判断を行なわず、咲晩スタッフ養成講座講師の指示に従って下さい。
≪押圧法の訓練には、完成時には消滅する絵画のデッサンのような訓練がステップごとに存在します≫