指圧をするために必要な脳の知識について
脳性麻痺児を指圧する場合、脳についても、指圧レベルに応じた知識が、必要になます。高度な指圧を行うためには、脳の正常(生理学的)な知識だけでなく異常(病理学的)な知識や、全身の総合的医学知識も重要となります。
ここでは、基本的な解剖学的説明に留めます。研究会の折、随時補足説明致しますので、当面は全体をイメージ的に捉えてくださればよいと考えます。
脳とは中枢神経の一部で脊髄を取り除いた部分を呼び、重さ(成人男子)は1,400g前後です。大別すると大脳半球・小脳・脳幹に分けられます。脳幹はさらに間脳・中脳・橋・延髄に分けられます。大脳半球は、他の動物とは比較にならないほど発達していて、重さは脳全体の80%を占めています。大脳半球(終脳)と間脳を合わせて大脳と呼びます。
小脳は重さが150gほどで、働きは身体各部の運動の平衡的協調を行います。
小脳が冒されると緊張の減少、筋肉の減少、筋運動の制御不能等が生じます。
但し、小脳は全部摘出しても生命に別状はありません。
神経の名称は中枢神経・末梢神経や自律神経・交感神経・運動神経・知覚神経などと多く、混同されやすいので簡単な区別を説明します。
中枢神経とは脳と脊髄を呼びます。身体の中枢としての働きを持っています。
末梢神経とは脳から直接でる12対の脳神経と脊髄からでる31対の脊髄神経を呼びます。動物神経とも呼ばれています。その働きは中枢(脳と脊髄)と様々な器官との連絡です。イメージ的には脳や脊髄からの指令を体中の器官に伝え、体中の器官の情報を脳や脊髄に伝えるための“コード”と考えてください。
脳脊髄神経とは双方を合わせた名称です。
自律神経とは不随意器官(人の意識では自由にならない器官)に分布し、生命維持に直接必要な機能を無意識的、反射的に調節する働きをもつ神経に対する呼び名です。人の意識では自由にならない器官をコントロールする神経と覚えてください。自律神経は交感神経と副交感神経とに二分され、その働きにより植物神経とも呼ばれます。自律神経の中枢は視床下部と呼ばれる場所にあります。
運動神経とか知覚神経という名称は、神経の中を伝わる“信号の方向”によって区別された神経の呼び方です。運動神経は脳や脊髄からの指令を体内の器官に伝えためのコードを呼び、知覚神経は体内の器官の情報を脳や脊髄に伝えるためのコードを呼ぶと覚えてください。
≪脳性麻痺を理解する基礎として、イメージ的に覚えてください≫