脳性麻痺児の運動機能学習訓練の効果を上げるために
人(Homo sapiens)は哺乳類に属する動物ですが、結果的に他の哺乳類とは様々な違いがあります。著しく異なるのは大脳ですが、筋肉(骨格筋)の状態にもかなりの違いがあるように考えます。
人は、健常でも筋力や運動機能も未熟な状態で生まれます。出生時にはさほど個人差はみられませんが、成長後には著しい個人差がみられます。
筋肉(骨格筋)は内因及び外因により変化する器官で、筋力も著しく変化します。その変化は必ずしも加齢に従うものでもなく、条件を満たせば著しい強化も可能な器官です。指圧は、筋力低下の内因に効率良く関与することができます。
運動機能学習訓練時の脳の混乱や身体の緊張は、その効果を低下させます。訓練時に、脳の混乱や身体の緊張を防ぐことも重要な事柄です。
随意(自己の意志による)運動と不随意運動(主に反射)を区別してください。
例えば、下肢の伸展運動を他動で行っている時に不随意運動(伸張反射など)が生じます。この時、この不随意運動(反射運動)を随意運動と判断し、注意や叱咤すれば、脳は混乱しやすくなります。
他動運動には、筋肉の不動性萎縮や関節の拘縮を予防する効果はあります。
しかし、運動機能の学習は自動運動でなければ行なえません。
不動性萎縮や関節拘縮などの予防や改善は他動運動より、指圧のほうが苦痛も少なく容易に効果が得られます。他動運動や自動介助運動で得られる効果は指圧で、運動機能の訓練は指圧後に自動運動で習得させてください。