骨の代謝と再生
骨折のとき「完全に折れた方が“治りが良い”」と言われます。
何故でしょう。骨の代謝と再生について説明します。
身体の成長と共に骨も成長していきます。しかし、いずれ身体の成長は止まり、その後は老化します。しかし、“骨の老化”という考えはある意味で誤りです。
80歳の老人の骨が、 “80年前の骨”というイメ-ジは、それはまるで、創業50年の魚屋で売っている魚は、「50年前の物かも?」と言う考えに似ています。
骨は常に、“破骨細胞により破壊され、骨芽細胞により再生される”という代謝を繰り返しています。骨の鮮度(?)は、骨芽細胞の活動に著しく左右されます。
骨量変化は、観察結果によると、外見(太さ)より内部(密度)が著しいのです。
骨は圧力(骨刺激)のかかる部分で骨芽細胞の活動が盛んになり密となります。張力のかかる部分で破骨細胞の働きが増し疎となります。骨の再生に骨刺激は不可欠です。しかし、神経を切断すると骨刺激を加えても、骨の再生が見られなくなります。骨の再生には骨刺激と共にその刺激を脳に伝えることが必要です。
ヒビより、折れてしまったほうが、 その部分に対する圧力(骨刺激)が増します。その刺激が脳に伝わり脳の命令により骨芽細胞が活発化します。骨刺激の差が骨芽細胞の活発化の差となり、治癒の差となります。老人の骨が疎で折れやすいのは、運動不足による骨刺激の減少が最大の原因です。加齢は運動不足による骨刺激の減少を誘発する原因にすぎません。
(閉経後の骨密度の減少原因は、上記の内容と異なります)
破骨細胞は特別な張力がかからない限り、特に活発化することはありません。骨を生涯一定の速度で破壊し続けます。骨を再生する骨芽細胞の活動は脳の命令により左右されます。骨密度変化は加齢より骨刺激と密接に関わります。