神経の発生と発達について
単細胞から多細胞に進化した動物は、血液の閉鎖循環を利用し、『ホルモン』と呼ばれる情報伝達物質を受け渡すという細胞間の情報伝達法を獲得しました。しかし、進化に伴い細胞の数は爆発的に増加し、身体は巨大化していきました。細胞と細胞の距離は遠くなり、ホルモンを血流に運ばせるという伝達方法では時間的な情報などを正確に伝達することが困難になりました。
そこで、ホルモンを運ばせるのではなく、ホルモンを放出する細胞と、受け取る細胞が、それぞれ突起(2種類)を伸ばし、その先端が刺激されると信号を送り、他の先端からホルモンを放出し、情報を伝えるというシステムを作り上げました。
この細胞を神経細胞、2種類の突起を樹状突起、神経突起(軸索)と呼び、進化するにつれ、神経細胞の数を増やし、神経節(神経細胞の集まり)を作りました。ここから随所に、突起を伸ばしました。(長い方の突起を神経突起と呼びます)
神経突起は、通常[神経線維]と呼ばれ、長いものは人の場合1mにも達します。
神経線維による伝達方法の獲得で、情報伝達はホルモンを血流で運んでいた時の100倍の速度に向上しました。最初の神経線維は、裸電線と同様な状態で隣接する神経線維に信号が漏れ、周りの神経線維へ様々な影響を与えました。一見不都合な状態を巧みに利用し、自律神経系を完成させていきました。
(空腹中枢の信号が、隣接する覚醒中枢に影響:お腹がすいて目が覚める)
次に神経線維を進化させて、信号漏れを防ぐための髄鞘(絶縁テ-プ)を作り、伝達速度をさらに100倍に上げ、複雑で素早い運動能力を獲得、知覚及び運動神経系を完成させました。(髓鞘の有無でそれぞれ有髄神経、無髄神経と呼ぶ)人の場合、知覚神経や運動神経の髓鞘が完成する期間は出生後15年位です。大脳の前頭葉(理性脳)の完成は、さらに遅く、40年程の期間が必要となります。
幼児の動作が独特で“幼児っぽい”のは髄鞘が完成していないためです。
脳性麻痺児の運動機能障害は、脳が原因とされます。しかし、運動神経と筋肉の関わりを考慮しなければ、機能向上は望めません。指圧は有効な手段です。