押圧法の注意(施術時間)
施術法が異なれば施術時間も異なってきます。一般的な指圧(圧迫法)では患者が支払う料金により、その施術時間が定まり60分~90分が多いようです。しかし、押圧法は治療が目的です。治療が目的であれば、当然、施術時間より効果を重視しなければなりません。治療効果を重視すれば、押圧法による治療対象者への施術時間は臨床経験的に正味15分~20分が適切だと判断しています。技術不足の“モタツキ”や問診や指導等を考慮しても全工程を40分以内で終了すべきと考えます。
生体は物と異なります。同一の加圧に対しても患者さんごとに独自の反応が返ってきます。施術効率を上げるためには施術前の診断が重要となります。十分な見立てができていなければ、施術効果を期待することは出来ません。私の場合、初診の際は60分位の時間をかけますが、ほとんどの時間を見立てや相互理解に使っています。施術時間は10分程度です。(もっと、短いよ~と言う声が聞こえそうです)
参考に、患者さんからのFAXを掲載いたします。
これは、都合で私の治療室へ来れない患者さんを〔指圧研究会・咲晩〕メンバーの治療室で全てこちらからの電話指示により(施術者の判断を用いないで)施術した結果に対する、患者さんからのFAXでの報告です。電話で判断し指示した施術部位や時間は、頚部と肩背部を5分間(診断中心)腹部10分間最後に再び頚部および肩背部5分間でした。結果は、多少のモタツキがあり30分弱かかったようです。
前略、昨日はありがとうございました。帰ってきて、午後、子供を習い事に連れていったのですが、とにかく眠くて、見ることもできず椅子に座って寝てしまいました。家に戻り電話で報告と思いましたが、眠ってしまい気がついたら朝でした。すみません、ご報告が遅くなりました。治療後、すごく背中が楽になり、すご~く自然に、背筋がしゃんと伸び、姿勢が良くなりました。首も楽になり、生き返ったような気がします。おなかも、自分で触れてわかるくらい、軟らかくなりました。今日は、体が軽く、だるくありません。
○○先生(施術者)も驚かれるほど、背中に首、そしておなかが、硬かったみたいです。
時を前後して、他のメンバーより、施術時間に関する失敗談(?)の報告がありました。
抜粋し掲載します。(詳しくは別紙にて報告)
先生の「指圧の圧は練習時よりずっと軽いものだ」との言葉が頭の中にありましたので、精神を集中して、親指の腹に感じるものを見逃さないよう、基本をていねいに行いました。1時間10分程かけました。最後まで集中して指圧したのです。終わってMさんは体が軽くなりピンピンの元気さで帰りました。翌日も朝から体が軽く、仕事の前に家中ピカピカに掃除したそうです。ところが午後になると目も開けていられず、机に向かう姿勢も取れないほど疲れたようになり、なんだかとても重い病気にかかった気がしたそうです。早退して医者に行っても、どこも悪くないとの結果でした。結局、会社は2日間休み、ひたすら寝て、土日も寝て、月曜日にはだいぶ元気になり仕事に出ることができました。
押圧法の作用や効果は独自です。特に筋性防衛解除後の作用や効果は他の手技では予測できない結果を生じます。脳内ホルモンのセロトニンやドーパミンについては、後日、講義で詳しく説明します。