第4回 把握と圧排動作について
把握と圧排動作について
押圧操作の習得には、押圧法と圧迫法に対する明確な区別が必要となります。
両者の操作は全く共通性がありませんから、その違いを知ることも不可欠です。
ここでは、手指操作に関わる動作(把握動作と圧排動作)を分類してみます。
【手指動作の分類】
手指操作は“圧排動作”と“把握動作”に大別できます。
圧排動作は手を広げて行なうのが特徴で、腕立て伏せはその代表的な動作です。
ピアノの鍵盤をたたく、ギターの弦をおさえる、拳で殴る動作も圧排動作です。
把握動作
把握動作は、何かを握る動作で、把握対象物の形状によりその動作は変化します。
把握動作は、にぎり・つかみ・つまみ・かぎがたの4種類に分類します。
にぎり(Power grip):強くしっかりした固定を得る。母指対立が必要。
つかみ(Precision grip):対象物を正確に把握する。母指対立が必要。
つまみ(Pinch grip):精巧な動作を得る。指紋部による母指対立が特徴。
かぎがた(Hook grip):猿の特徴的動作で母指対立を行なわない把握動作。
圧迫法の手指操作は圧排動作です。押圧法は3種の母指対立を必要とする把握動作です。
母指対立機能
手指で可能な操作により、霊長類と他の哺乳類、および人類とその他の霊長類の区別ができます。
霊長類と他の哺乳類は“把握動作”の可不可で区別できます。人類とその他の霊長類では“母指対立操作”が可能か否かで区別ができます。“圧排動作”は哺乳類に限らず足趾を持つ動物ならどの類にも可能な動作でが、母指対立操作は人類固有の動作です。
押圧操作は人類の特徴である母指対立機能を駆使します。押圧法では母指対立機能よりさらに優れた完全母指対立機能を習得練磨します。さらに高度な抗重力操作も必要です。完全母指対立機能の習得のみで押圧操作可能とはなりませんが、完全母指対立機能の習得なしに押圧法習得はありえません。