違法広告について(3)
なぜ、有資格者の広告は真偽に関わらず違法となるのか
国は医師をはじめとした“治療行為を業とする者”に対し、まず国家資格(免許)の取得を義務付け、次に届出や広告等に関して(それぞれの法律を定め)規制を行っています。
広告に関しては、以下の事項以外の事項は禁止されています。
1.施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所。
2.第1条に規定する業務の種類。
…この場合、あん摩・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師であること。
3.施術所の名称、電話番号及び住所の場所を表示する事項。
4.施術日または施術時間。
…いわゆる、開業日、休業日、開業時間の告知。
5.その他厚生労働大臣が指定する事項。
さらに、1から5までの事項について広告する場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならないという補足制限があります。
有資格者の広告が著しく制限され、内容の真偽に関わらず違法となる理由は、有資格者同士の競争による誇大広告等で「国民が適切な医療を受ける機会を失うおそれがある」という国の判断によるもので、“何人も、いかなる方法によるを問わず”と定めています。
医療行為や免許に関する法律
指圧師に関する法律の第1条には『医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧師、はり又はきゅうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならない。』と定められ、さらに第12条には『何人も第1条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法の定めるところによる。』と定められています。
医師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師(柔道整復師)以外の者が医業類似行為を業とすることは禁じられます。しかし、“業としなければ”医業類似行為そのものは(他の法を犯さない限り)自由です。さらに、“医業類似行為以外の行為”であれば、何人も“労働選択の自由”に守られ(他の法を犯さない限り)自由に業とする事ができます。
指圧師免許は、学校教育法第56条の規定により、大学に入学することのできる者で、3年以上、文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他指圧師となるのに必要な知識及び技能を修得し厚生労働大臣が行う指圧師試験に合格した者に対して、厚生労働大臣が与えます。
法文は、かたくて・・硬くて・・・参ります。でも参照してください。
取締りの対象となるためには・・・
医師をはじめ“医業行為を業とする”には、それぞれの国家資格(免許)取得が必要です。当然ですが、無資格で“医業行為を業として”行った者は監督庁の取締り対象となります。さらに、無資格者が医師や指圧師等の有資格名称を使用すれば取り締り対象となります。
しかし、医業行為でも“業以外は”違法とはなりません。さらに、“医業行為以外の行為”と監督庁が判断すれば、一般人が医療と認識する行為でも取り締まり対象とはなりません。
有資格者以外の者が医業類似行為を業とすることを法は禁じています。しかし、行為とは(広義では人間のあらゆる動作を含みますが)法的には“明確な目的観念や動機を有し、思慮・選択・決心を経て、意識的に行われる意志的動作で善悪の判断の対象となるもの”を指しています。そこで問題となるのが被術者(患者)ではなく、施術者の目的観念(見解)および知識や技能です。施術者の目的観念や動機、あるいは知識や技能が医業行為に至らなければ、“医業行為以外の行為”と監督庁は判断し、取り締まり対象となりません。
医業行為でも研究等の業以外のものであれば、他の法を犯さない限り、誰もが自由です。
ということは・・・無資格者は取締りの対象となることの方が困難かも
どうすれば取締りの対象となれるか・・・教師猫流に考えてみました。
我々有資格者は、言動さえも詳細に定められた関係法規で、容易に取り締まられます。『第1条に掲げるものを除くほか、医業類似行為を業としてはならない。』といった“法文”や国民が“正当な医療を受けるために必要な注意”でも、広告することも禁じられています。
それに引き換え、医師および指圧師に関する法律で無資格者を取り締まることは容易ではないようです。監督庁が無資格者を容易に取り締まることができるのは、病院等や施術所(治療院)として、監督庁に正式な届出を行った施設内で無資格者が有資格行為を行ったケースに限られるようです。『何人も医師、あん摩、マッサージ若しくは指圧師、はり師又はきゅう師(柔道整復師)免許を有しないものは医業類似行為を業としてはならない』という、法の定めとは裏腹な現実、国民の誤解を解く術さえ与えられていないのが有資格者です。