「あん摩」で取れる指圧師資格
"按摩"の意味は広辞苑に「2.(あんまが盲人の業だったことから)俗に盲人」と書かれている。かつて、あん摩は盲人の独占業だった。現在では盲人と晴眼者との区別はないが鑑札制度時代の修業年数は盲が2年、晴は4年だった。その後の法改正により鑑札制度から養成学校で学ぶ免許制度に改められ、盲と晴とによる区別もなくなり修業年数は共に2年。さらに現在では3年となった。
マッサージは、日本古来のあん摩術を基礎とし明治中期フランスから輸入したマッサージの特徴を取り入れ、日本独特に開発された手技である。西洋医学の普及と共に医療技術として医療界に定着した。保健技術としてのあん摩と区別し、免許を分けた経過はあるが、双方の手指操作に著しい相違はない。浪越徳治郎先生を始祖とする独自の手技である指圧は、手指操作がそれらとは基本から異なる。
鑑札制度時代は、専門の有資格者(師匠)から専門の技能および知識を習得すればその資格を取得し専業を行うことができた。免許制度になって、公的試験が義務付けられ、手技療法(あ・マ・指)のすべての技能および知識を習得しなければ、資格取得も専業を行うこともできなくなった。
公的に3種の実技習得が義務付けられ、専門業を志す者の技術習得や技術向上の妨げとなった。
わずか、2年間で3種類(実際には2種類)の手技を習得するのは容易ではない。あん摩の手指操作を取得し、上達すればするほど、基本操作が異なる指圧の手指操作を習得することは困難となる。指圧の将来を危惧する声は「まず資格取得」という大義名分にかき消され、世に指圧の看板のみが増加した。