筋肉について
筋肉について
押圧法の角度から、筋肉について学ぶことで、手技に対する考えが変わります。押圧法の医学的合理性も理解していただけると考えます。ここで言う筋肉とは、身体の運動を行うもので、専門用語で骨格筋と呼びます。筋肉は、骨を動かし、体熱(体温)を作り、さらに血液を循環させるなど大切な作用があります。筋肉の性質や作用を正しく理解して、効率のよい運動機能の学習や訓練、および押圧操作を行なってください。(イメージ的理解でも十分な効果が得られます)
単関節筋と多関節筋
筋肉(骨格筋)の最大の役割は、骨を動かし身体の運動を行なうことです。そのため、一本の筋肉は関節をまたいで複数の骨に付きます。(骨と骨は関節でつながります)このとき一個の関節をまたぐ筋肉を単関節筋、複数の関節をまたぐ筋肉を多関節筋と呼びます。(別項で詳しく説明します)
筋肉(骨格筋)の作用
筋肉は刺激を受けると縮み、刺激がなくなると緩みます。筋肉は、自身で縮むことはできますが、伸びることはできません。肘を伸ばす時には、肘を伸ばすための筋肉(伸筋)が縮み、肘を曲げる時は、肘を曲げるための筋肉(屈筋)が縮みます。 この相反する動作を行なう筋肉同士を拮抗筋(きっこうきん)と呼びます。筋肉は刺激を受けて縮み、刺激がなくなると緩みます。疲労すると、縮みにくく、緩みにくくなります。筋肉を伸ばすのは拮抗筋の働きです。
筋肉(骨格筋)の構造
筋肉(骨格筋)は、全体を“筋膜”という膜で包まれた、直径約0.1mmの筋線維の集合体です。さらに、筋線維は直径約1千分の一ミリの“筋原線維”の集合体で構成されています。〔筋原線維はアクチン(直径約7nm)とミオシン(直径約12nm)で構成するサイコメアの集合体〕
単位の説明
〔μ=マイクロ=百万分の一。1μm=千分の一ミリメートル〕
〔n=ナノ=十億分の一。1nm=百万分の一ミリメートル〕
筋肉(骨格筋)の破壊と再生
筋肉の破壊と再生にいては別項で説明しますが、ここでは、破壊された筋肉の再生がその破壊規模によって著しく異なることをイメージ的にとらえてください。 骨格筋模型図でいう筋原線維レベル以下の破壊は、壊れた状態が完全に修復される完全再生に留まらず、筋肉独特の再生である“超再生”を生じます。
この超再生が生じると筋量が増え、筋力も増加します。筋力のアップやリハビリのトレーニングに“筋肉の性質”である筋原線維レベル以下の破壊によって生じる“超再生”を利用しています。詳細は省きますが、筋線維レベル以上の破壊では、不完全再生となります。線維芽細胞の出現により弾力性や柔軟性を失い、筋肉としての機能を失った収縮し繊維化された組織に置き換えられます。
骨格筋模型図と共にミリ単位(筋線維)以上の破壊は単なる破壊であるが、マイクロ単位(筋原線維)以下の破壊が筋力アップにつながることを覚えてください。
備考
本講座では筋肉独特の再生である“超再生”のみならず、筋肉の性質や作用を正しく理解して、効率のよい運動機能の学習や訓練、および押圧操作の指導を行なっていきます。『てのひらの会・咲夢』会員の皆さんの押圧法理論習得は、本講座指導員の個人指導を守ることを条件にイメージレベルで十分と考えます。