自律神経失調症
自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経の調和が失われて生じた、“症状”を呼びます。 倦怠・のぼせ・多汗・無汗・冷え性・めまい・頭痛・肩こり・腹痛・食欲不振・便秘・下痢・不安・不眠・動悸・息切れなどと多彩で、しばしば強い自覚的愁訴がありますが、器官の構造や形状的な異常が診られることが少なく、不定愁訴症候群とも呼ばれます。心理的な原因により生じる精神の機能障害(神経症)の身体的表現と考えられ、多くは、カウンセリングや向精神薬などで対処されています。
不定愁訴症候群とも呼ばれる自律神経失調症には、幾つかの特徴があります。病院などの検査結果に器質的病変と呼ばれる、器官の構造や形状などの病的変化が認められず、本人のみが苦痛を訴える(自覚的愁訴)ため仮病(詐病)を疑われますが、押圧法での他覚的診断で、詐病とは明確な区別が可能です。
自律神経失調症の最大の特徴は、他の哺乳類には診られない『人独自』の病気であることです。近年、ペットの自律神経失調症“モドキ”の症状も聞きますが、自律神経失調症は、情動と理性(情操)を兼ね備えるゆえの病気と考えます。
精神の機能障害の単なる身体的表現と捉えられ、不定愁訴症候群と呼ばれて、その原因の多くを“心因性ストレス”として片付けられる自律神経失調症ですが、自律神経の機能や特性の概要を理解すれば、自律神経失調症が情動と理性(情操)を兼ね備えるゆえの、単なる自律神経の乱調であることや押圧法による対応がいかに医学的に有効な手段であるかは理解していただけると考えます。
自律神経とは
自律神経は、脊椎動物の脳や脊髄(中枢神経)と様々な末梢の器官(感覚器官・呼吸器官・消化器官・循環器官・分泌器官など)とを連絡する神経(末梢神経)の一種です。脳(間脳)の視床下部にその中枢があり、全身に分布しています。
自律神経は、脊椎動物の呼吸、循環、消化、吸収、生殖などの“植物的機能”の調節を担います。運動や知覚など“動物的機能”を担う体性神経と区別します。
本人の意思でコントロールすることが困難なため“不随意神経”と呼ばれます。または、生命活動の中で植物的な役割を担うため、植物神経とも呼ばれます。
自律神経が正常に機能すれば生命の維持は可能です。自律神経の機能のみで生存している状態を“植物状態”とか“植物人間”と呼んでいます。
交感神経と副交感神経
自律神経は、大脳の支配から比較的独立し、自身を律して働くと考えられたため“自ら律する神経”という意味で、自律神経と命名されました。 〔参照:自律神経〕 交感神経と副交感神経は、働きの違いより区別されています。多くの器官を2重に支配し、一方が『促進的』に他方が『抑制的』にと“拮抗的支配”を行ないます。
【交感神経】
自律神経は、脊椎動物の呼吸、循環、消化、吸収、生殖などの“植物的機能”の調節を担っています。交感神経は、これらの中で、“エネルギーを発散”する自律機能の調節を担います。身体の活動または運動時には、交感神経の興奮により交感神経緊張状態となり、心臓血管系促進(顔面蒼白・血圧上昇・脈拍増加)、物質代謝亢進、覚醒などが生じますが、胃腸の消化吸収作用は抑制されます。
【副交感神経】
副交感神経は、エネルギーを蓄える自律機能の調節を担います。副交感神経の興奮は、心臓血管系を抑制し、胃腸の消化吸収には促進的に作用します。末梢血管の拡張、血圧の下降など、食事や安静さらに睡眠に適した状態となります。
なぜ自律神経は失調するのか
意のままにはならない“不随意神経”ですが“植物神経”と呼ばれ、生命維持の根幹を担い、自律した神経であるがゆえに、“自律神経”と呼ばれ、互いに感じあって働く神経の意味で、“交感神経および副交感神経”と名付けられました。
守りに徹したような自律神経は、なぜ“失調”するのか。そこには、“継ぎ足し”を重ねた建造物のような脳の進化や交感神経および副交感神経独自の特徴などと協調できない“人が人であるがゆえに”という、宿命的な理由が存在します。
不随意な交感神経が、生命活動において(拮抗的支配を行う)副交感神経より、いつ如何なる時も(常に)優位となりえます。特に、強烈に情動(感情の一種)の影響を受け、瞬時に優位となり、著しい『正のフィードバック』を引き起します。
〔備考:情動について〕
情動とは、身体の生理的変化を伴った、比較的急速に引き起される、一時的で急激な感情。怒り、恐怖、喜び・悲しみなどがあり、本能や動物脳と深く関わる。
自律神経の失調とは・・・
説明が前後するというより飛躍しますが、自律神経の失調とは如何なる状態を呼ぶのでしょうか、(患者の)訴えは“身体的苦痛”を多く含んでいますが、身体(各器官)の病気とする証拠(器官の構造や形状的な異常)が乏しく、心理的な原因により生じる精神の機能障害(神経症)の身体的表現と考えられています。 対応法は、精神の機能障害(神経症)として行なわれます。結果として、患者の“身体的苦痛”には対症療法(原因の除去ではなく症状を緩和する方法)のみの対応です。自律神経の失調には、身体のホメオスタシス(恒常性)機能の乱れを診ることができ、押圧法による“他覚的診断”では、交感神経緊張状態の継続や交感神経異常緊張(過緊張)を明確に指摘することができます。
押圧法による対応
押圧法では自律神経失調症に対し、精神の機能障害(神経症)として対応するのではなく、“他覚的診断”と治療が可能な、交感神経緊張状態の継続や交感神経異常緊張(過緊張)に対し、副交感神経刺激によるアプローチを行います。 “人なるがゆえ”の理性脳の悪影響による、情動の『正のフィードバック』を医学的論拠に裏打ちされた科学性(再現性)を有する施術により回避し、自律神経の失調を整え、身体のホメオスタシス(恒常性)機能の改善を効率よく図ります。
文脈や説明が乱れ、まとまりなく、この項を閉じます。“押圧法による対応”は、途中の説明や論拠の詳細を飛ばした内容となりましたが、後日加筆します。