抗重力ブラ 詳細・3
腹式呼吸と胸式呼吸
腹式呼吸と胸式呼吸では、どちらが有利なのでしょうか。
〔指圧研究会・咲晩〕メンバーにこのテーマを投げかけたら、独自の理論で白熱した議論を繰り広げることでしょう。教師猫は、このテーマを“カエルの呼吸法”から展開させていくことでしょう。
陸上四足動物は肺呼吸を行いますが、肺には運動機能がないため体腔(胸腔と腹腔)の容積を変化させ、肺の拡大や縮小による吸気や呼気を行います。両生類から爬虫類、さらに哺乳類への変化を進化と呼ぶならば、哺乳類への進化と共に獲得した横隔膜(胸腔と腹腔を仕切る筋膜)を活用する腹式呼吸は、最も進化した呼吸法と言えるでしょう。
しかし、四つ這い姿勢の哺乳類では、肋骨が胸椎から地面へと垂直に伸びているため、単に肋骨を前後に動かす胸式呼吸は楽にできます。そのため、犬や猫は腹式呼吸よりも、胸式呼吸の方が得意のようです。
さらに、四つ這い姿勢から直立姿勢に進化した現生人類では、著しく事情が異なります。直立姿勢で胸式呼吸を行うには、吸気時に胸椎(背骨)を支点とし、鍛えることも容易ではない、非力な肋間の骨格筋群(内・外肋間筋)を用いて、重力に逆らいながら肋骨を引き上げなければなりません。
その点、腹式呼吸では、進化により獲得した横隔膜を強靭な腹部の骨格筋郡(腹直筋等)で引き下げればよいのですから、直立姿勢を獲得した現生人類にとっては、腹式呼吸のほうが胸式呼吸より有利といえると考えます。
不利な呼吸法の選択
直立姿勢を獲得した現生人類には、胸式呼吸は、不利な呼吸法と考えます。しかし、多くの現生人類の雌は、この不利な呼吸法といえる胸式呼吸を思春期以前に学習し獲得します。これは、雌に不可欠な役割となる将来の妊娠への準備で、胎児の成長に伴う消費酸素量の増加や腹腔容積の減少に対応するための選択です。妊娠6ヶ月を過ぎる頃から、必要な酸素量を腹式呼吸のみで補うことは困難となります。しかし、この選択はバストを獲得した現生人類の雌にとって、さらに厳しい選択であったと考えます。
胸式呼吸は、四つ這い姿勢の四足獣であれば、肋骨の移動は水平方向となるため重力の影響は少ないのですが、直立姿勢を獲得した現生人類では、吸気時に脊柱を支点とし、肋骨を重力に逆らいながら動かし、前胸部を垂直方向に引き上げる必要があります。このため、胸式呼吸運動の作用点(前胸部)に位置するバストの自重は、胸式呼吸運動の吸気時における最大の負荷となってしまい、胸式呼吸運動を阻害し、呼吸機能を低下させます。
直立姿勢で呼吸をしながら、掌でバストを上から押さえてみてください。軽く押さえただけでも、吸気運動の阻害を実感できます。逆に、掌でバストを下から持ち上げてみてください。軽く持ち上げただけで、吸気運動が楽になります。